Bascktball
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以前フジTVで見た『奇跡体験!アンビリバボー』で見た「ルイス・マルキー 〜弱小バスケ部・奇跡の大逆転〜」。全米では「サマーヴィル高校の奇跡」と呼ばれ感動の実話として取り上げられた。最初はアメリカ版『Rookiesルーキーズ』かなぁ・・・?と思って見ていたんだけど、ある悲劇を境に「これは『Rookiesルーキーズ』では片づけられないなぁ・・・。」って思いました。

とりあえず『Rookiesルーキーズ』ってこんな話

二子玉川学園高校(通称ニコガク)へ赴任してきた新人教師・川藤幸一(かわとうこういち)。そこで彼が出会ったのは部員の起こした不祥事により活動停止中の野球部。かつては春のセンバツ甲子園出場まで果たしていた伝統ある部も、現在では部員達は自暴自棄になり不良達の溜まり場と化していた。 が、そんな部員達の心の奥底に残る情熱を見抜いた川藤は野球の「や」の字も知らなかったが、自ら顧問となって野球部の再建に乗り出す。初めは川藤を馬鹿にしていた不良部員たちであったが、次第に彼の親身になって自分たちと向き合おうとする態度に動かされ、様々な試練や逆境に見舞われながらも一致団結して夢の甲子園を目指し奮闘していく。・・・

『ROOKIES』(ルーキーズ)は、森田まさのりによる日本の野球漫画作品

引用:ウィキペディア「ROOKIES」より抜粋

「サマーヴィル高校の奇跡」とは

アメリカ・サウスカロライナ州にあるサマーヴィル高校のバスケ部は、毎年地区予選で敗退する弱小チーム。 そこへコーチとしてやって来たのがルイス・マルキーだった。 ルイスの本職は消防士。サマーヴィル高校のアメフト部OB、当然バスケット経験はほぼゼロ。そんなルイスが部員たちにいきなりこう言った。

「君たちは、卒業までに州チャンピオンになる。自分たちの可能性を信じるんだ!」

バスケ部員の多くは、貧しい黒人家庭の子供たち。 無気力で成績も悪い彼らを一部の大人たちは「落ちこぼれ」扱い。 そんな部員たちは、「ルイスもすぐに投げ出すだろう。」と思っていた。だがルイスは一番に体育館に来て生徒を待ち、 しかも練習前に部員たちに宿題をさせ始めた。 その上、礼儀作法にまでうるさく口を出した。 その一方でルイスは、練習が終わる度に、部員たち全員に食事をご馳走。 彼らの悩みや相談にも真剣に耳を傾けた。そんなルイスに、無気力だった部員たちは次第に心を開いていくのだった。

それから、実力が全く振るわなかったサマーヴィル高校が徐々に勝利を収めるようになる。その翌年、チームはさらに実力をつけ、ついに州大会本戦への切符を勝ち取る。ルイスもサマーヴィルもまさに順風満帆だった。そんなある日、悲劇が起きる。

サマーヴィル郊外にある、家具店で火災が発生。 ルイスは消火作業のなか店内に取り残された従業員救出中の事故で。そのまま還らぬ人となった。ルイスの死を受けてバスケ部のメンバーは絶望し気力を失っていた。そんなメンバーの中、ミルハウスとAJだけは違った。 チームメイトを「『何があっても諦めるな。自分たちの可能性を信じろ』ルイスだったら絶対にこう言うはずだ。」と励ます。

チーム全体が傷心の中、何故ミルハウスとAJはチームメイトを励ますことが出来たのか?少し遡ったある日、ミルハウスとAJは献身的なルイスの接し方に疑問を持ち、ルイスの妻ローレンに理由を聞いたことがあった。ローレンはルイスから聞いた彼の幼い頃の出来事を二人に話した。

ルイスの家もまた貧しく困窮を極めていたのだが、両親は少ない食料を近所の貧しい家庭に分け与えていた。自分のことだけを考えるのではなく、常に相手のことを考える両親を見て育ったルイスは「僕は彼らのために何でもするつもりだ。だから彼らも誰かのために必死になれる、そんな人間になって欲しいんだ。」とローレンに話し、その話をミルハウスとAJは理解した。

事故後、絶望の淵にいたのはバスケ部メンバーだけではなかった。最愛の人を失った妻のローレンは、失意の中、家に引きこもるようになっていた。ミルハウスとAJは、そんなローレンの元へも訪れ、「ルイスの夢を実現するために、絶対に優勝する。」と誓い励ました。 そこにはもう、自分さえ良ければいいと考えはなかった。

そして、サウスカロライナ州大会本戦が開幕。彼らの傍らには、ルイスの消防ヘルメット、そしてローレンが見守る中、サマーヴィル高校の戦いは始まった。ルイスへの思いを胸に、チーム一丸となったサマーヴィル高校は勝ち進み、ついに決勝の舞台にまで勝ち上がってきた。決勝の相手は、強豪スパルタンバーグ高校。勝負の行方は果たして。決勝戦は、両校とも一進一退の攻防を繰り広げ、試合はとうとう終局を迎える。残り時間2分、サマーヴィルは相手チームに4点のリードを許す展開となっていた。絶対的ピンチの中、会場中に「ルイス・マルキー!」コールが鳴り響いた。そしてサマーヴィルは、その声に押され逆転(2点差)。だが終了間際に相手チームの悪夢のスリーポイントシュートが決まってしまい、サマーヴィルは逆転負け。 優勝の夢は潰えたと誰もが思ったその時・・・。実況が「無効です。ノーカウントです。」と。実は、相手チームがシュートを放った時には、既に残り時間はゼロになっていたとして、得点は無効になったのだ。

奇跡の逆転劇から9年。 現在サマーヴィル高校バスケット部は、強豪チームへと成長を遂げている。

「サマーヴィル高校の奇跡」と呼ばれる実話。ストーリーとして僕は『Rookiesルーキーズ』を引き合いに出したのだけど、ルイスの悲劇、ミルハウスとAJの行動や奇跡の優勝など、はるかに感動の物語でした。でも奇跡はこれだけではないんです。

脈々と受け継がれるルイスの信念

ルイス・マルキーの信念を理解して成長したメンバーたち。ルイスの信念は、当時のメンバー達によって脈々と受け継がれています。これこそが本当の奇跡なんじゃないか?これこそが『Rookiesルーキーズ』と簡単に比較できない事実なのです。

妻のローレンは現在、弁護士となり、昨年すべてを受け入れてくれる男性と出会い再婚。長男にも恵まれ幸せに暮らしている。「ルイスがいたから今の幸せがある。」と語る彼女の現在のフルネームは、ローレン・マルキー・フリアソン。 何と現在の旦那の快諾を得て、ルイスの名前をミドルネームに残している

バスケ部のメンバーの一人、デュウェイン・シモンズは、現在、税理士となって活躍中。

ミルハウスは、列車の運行指令員として働く一方、地域の子どもたちにバスケットを教えている。

そしてAJは、バスケットの選手から、NFL(シンシナティ・ベンガルズ)のトップスターにまで上り詰め貧しい子供たちの為の奨学基金を設立。ルイス同様、今度は自分が恵まれない子供たちの可能性を広げる支援をしている。

ルイスの信念から生きるヒントを探る

「僕は彼らのために何でもするつもりだ。だから彼らも誰かのために必死になれる、そんな人間になって欲しいんだ。」ルイスが妻のローレンに語った言葉です。

今、世の中では「自分のためだけで精一杯」という風潮が個人は勿論のこと、国でも(ナショナリズム)言われるようになってます。そんな中で、「他人の為」ということに価値を見出すのは。非常に難しいのかもしれない。だからこそ余計に尊さを感じるのは、僕だけではないはず。この「サマーヴィル高校の奇跡」には、この「他人の為」というルイスの信念が、チームにそして選手や妻のローレンへと受け継がれていている。

「他人の為」に価値をおく生き方を提唱するのは、当然ルイスだけではない。名言として数多く残っている。

抜粋してみますね。

人生の唯一の意義は、人のために生きることである。 トルストイ

 

何かのために死なない人間は、生きるにふさわしくない。 キング牧師

 

我々は、他人に幸福を分け与えることにより、それと正比例して、自分の幸福を増加させるのだ。 ヘンサム

 

幸福は分かち合うようにつくられている。 ラシーヌ

 

人のために生きる時人生はより困難になる。しかし、より豊かで幸せにもなれる。 シュバイツァー

 

誰かの為に生きてこそ人生には価値がある。 アインシュタイン