CINEMA
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2018年7月に鑑賞した映画のまとめレポート。7月は洋画2本、アニメ1本、邦画1本の計4本。ちなみに6月は映画を一本も観てませんでした。

  • ハン・ソロ /スター・ウォーズ・ストーリー(2018,7,1 MOVIXつくば)
  • ジュラシック・ワールド/炎の王国(2018,7,14 MOVIXつくば)
  • 未来のミライ(2018,7,21 シネマサンシャイン土浦)
  • 劇場版 コード・ブルー/ドクターヘリ緊急救命(2018,7,27 シネマサンシャイン土浦)

洋画2本、アニメ1本、邦画1本。

7月に観た映画

ハン・ソロ /スター・ウォーズ・ストーリー

レビューはコチラ→

映画「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」銀河最速のアウトロー伝説

ジュラシック・ワールド/炎の王国

簡単なあらすじ

かつて一大恐竜テーマパーク「ジュラシック・ワールド」があった南米イスラ・ヌブラル島。3年前の事故(ジュラシック・ワールド参照)で、現在は恐竜だけが住んでいる島だが、火山の活発化によって、死の島になろうとしていた。

合衆国連邦議会では、かつてのジュラシック・パークに関わった哲学者のマルコム博士が、過剰テクノロジーに警鐘を鳴らし、イスラ・ヌブラル島の恐竜たちは絶滅すべきと主張、議会の最終結論も恐竜保護は行わないという結論となった。

元ジュラシック・ワールドの経営者で、現在は恐竜保護団体に籍を置く“クレア”は、議会の決定を知り、ロックウッド財団からの支援を取り付け、恐竜たちの保護にのりだす。(財団の創設者“ロックウッド”は「ジュラシック・パーク」の設立者“ハモンド”の盟友で、かつては共同で恐竜を蘇らせる研究事業を運営していた)

恐竜保護にあたり、クレアは田舎で半隠居生活を送っている動物行動学者“オーウェン”(クレアの元恋人でラプトルの飼育係だった)を訪ね恐竜保護の協力を要請する。難色を示すオーウェンだったが、ブルーを思い、結局クレアたちと一緒に島へ。

島には、既にロックウッド財団の傭兵部隊がベースキャンプを設営し恐竜捕獲の準備をすすめている。そして火山活動は活発化し、島のところどころで噴火も始まっていた。ブルーを保護するため、オーウェンとクレアたちは傭兵集団と共に島の奥地に入っていく。かつてのジュラシック・ワールドのシステム管制室に到着したオーウェンたちは、恐竜たちに埋め込まれたマイクロチップを利用して、ブルーの居所を確認。そしてオーウェンはブルーの元へ。

オーウェンの前にブルーが現れ、そしてオーウェンはブルーに話しかけ始める。警戒するブルーでしたが、過去を思い出したのか、かつてのようにオーウェンの手に頭を擦り付けようとする。が、その時ブルーに麻酔弾が撃ち込まれ、ブルーは財団の傭兵たちに捕獲されてしまう。傭兵たちのやり方に激昂したオーウェンだったが、オーウェンも麻酔弾を打たれてしまう事態に。オーウェンに同行していた獣医師のジアも傭兵たちに連行されてしまう。財団の目的は、恐竜保護ではなく、生きて捕獲して売りさばくことだったのだ。

そうこうしてるうちに、島の火山が本格的に噴火、システム室のクレアたちは噴火の溶岩と施設に入ってきた恐竜に襲われながらも何とか脱出します。そこに麻酔から意識をとり戻したオーウェンも合流。火山の噴火から逃れてきた、恐竜の群れの凄まじい勢いに圧倒されるオーウェンとクレア達は、最終的に崖から海にダイブして難を逃れる。3人はなんとか浜辺まで戻って来るが、そこでは傭兵たちが捕獲した様々な恐竜たちを船に積み込んでいた。そして船は島を脱出する為に出港。3人も何とか船に飛び乗り、島からの脱出に成功する。島では、浜辺に取り残されたブラキオサウルスが、火砕流に飲み込まれて断末魔の叫びを上げていた。恐竜の王国だったイスラ・ヌブラル島は、死の島へと変貌していった。

ロックウッド邸では兵器密売人と財団の実質責任者ミルズが、捕獲した恐竜を富裕層のペットや兵器とし商売する密会を屋敷の地下室でしていた。ロックウッドの孫娘のメイシーは、その話を聞いてしまう。またロックウッド邸の地下室には、恐竜のDNAの研究室もあった。研究を主導しているのは、かつてジュラシックパーク、ジュラシックワールドで恐竜再生を行ったヘンリー・ウー博士でした。そしてメイシーは、研究施設とウー博士が開発したインドミナスレックスとヴェロキラプトルのDNAを掛け合わせた新種「インドラプトル」の存在を知ってしまう。インドラプトルの存在に、メイシーは叫び声をあげてしまいミルズに発見され、自分の部屋に閉じ込められてしまうのだった。

度を越すミルズの行動(陰謀)だが、メイシーから事前にその概ねを聞いて察していたロックウッドは、ミルズに対して直ちにやめて自首するように意見する。が、ミルズは逆上し、そんなロックウッドを殺害してしまう。

一方オーウェンとクレアたち、そして捕獲されたTレックスやラプトルのブルーを乗せた船団は、港に到着、船を下りたトラックはロックウッド邸を目指す。それに合わせるように世界中の大富豪たちもロックウッド邸に集まり始めていた。目的は恐竜の競売だった。

部屋に閉じ込められていたメイシーは、何とか部屋を脱出してロックウッドの元へ。そこでメイシーは殺された祖父を発見し悲しみに暮れる。そしてある写真を見つける。そこには自分にそっくりな女性が写っていた。メイシーはミルズの目を逃れ、再び地下を目指す。一方クレアとオーウェンたちもロックウッド邸に到着するが、発見されてしまい、地下牢に閉じ込められてしまう。

恐竜の競売がはじまり、次々と高額で恐竜達が買われていく。クレアとオーウェンは何とか牢から脱出、牢から出た2人は地下室の隅でうずくまるメイシーを保護する。メイシーは2人にロックウッドがミルズに殺されたこと、自分が見た恐ろしいインドラプトルのことを話す。その競売会場では、今回の本命インドラプトルが披露、高い知能と戦闘能力を有した最強兵士のプレゼンだった。それを見た富豪たちは狂喜乱舞し、法外な額を提示するのだった。その額に目がくらんだミルズは、最終的に最高値を提示したロシアの軍事産業の富豪に購入権を与えてしまう。

盛り上がる競売会場に、檻を逃げ出したスティギロモクとオーウェンがなだれ込む。一瞬にして会場はパニック状態に。そんなどさくさの中、恐れていたことが起きてしまう。インドラプトルが檻を出てしまうのだった。

オーウェンとクレアは、メイシーを連れて屋敷を抜け出そうとするが、ミルズと対峙してしまう。そこでメイシーに対しての驚愕の事実がミルズの口から暴露される。それは、メイシーはロックウッドの孫娘ではなく、彼の娘のDNAから作り出したクローン人間だったのです。そんな最中、インドラプトルが3人の眼前に現れる。

この惨状の中、ウー博士の研究チームブルーから血液を採取して、屋敷を脱出しようとするが、失敗に終わり、さらにブルーも檻から逃げ出してしまう。傭兵との交戦もあり、研究室は火に包まれる。そして地下一帯には、有毒物質が充満するのだった。

一方、必死で逃げるオーウェンたち、それを追うインドラプトル。襲われる中でクレアが足を負傷、オーウェンが手当てをしようとするが、それを制して先に逃げたメイシーを助けることを促す。インドラプトルは卓越した嗅覚でメイシーを追い詰めていく。そこにオーウェンが駆けつけるが、銃弾も効かない。まさに万事休すというタイミングで、ブルーがインドラプトルに襲い掛かる。2匹の争いに乗じ、オーウェンとメイシーは屋根伝いに逃げるが、ブルーを撃退したインドラプトルがさらに二人を追い詰める。ガラス張りの屋根で対峙するインドラプトルとオーウェンたち、不用意な動きは自重で屋根が割れて落ちる危険があり、お互いに様子を伺っている状態だが、じりじりと2人に近づくインドラプトル。そこに駆けつけたクレアの機転とブルーの働きによってインドラプトルは、ガラスの屋根から転落。真下にあった化石の角に突き刺さり即死。オーウェンたちは九死に一生を得る。

無事を確認しあう3人とは対照的に、充満する有毒物質によって地下室の恐竜たちは瀕死の危機に。何とか救出しようとするクレアだが、オーウェンは彼女に「よく考えろ。ここは島じゃない。それを押したら最後だ」と助言する。躊躇するクレアだったが、その時、何故か突然非常扉が開き恐竜達が一斉に外に向かって走り出す。それはクローンという業を憂うメイシーの仕業だったのだ。

屋敷の外に脱出した恐竜たちは、ミルズや傭兵たちを踏みつぶし、そして食い殺し、そして外界に散って行った。そんな恐竜たちの様子を見守っていたオーウェンたちのところに、ブルーが現れます。オーウェンはブルーを保護しようと誘うが、ブルーはオーウェンに一礼をするかの仕草をみせ、他の恐竜と同様に、森に消えていくのでした。

空をプテラノドンが飛び、サーフィンを楽しむビーチにモササウルスが現れ、動物園ではティラノサウルスがライオンと一緒に雄たけびを上げる。

この非常事態に、連邦議会では再びマルコム博士が、人間エゴがが原因とした上で、恐竜と共存する時代がやってきたと告げるのだった。

「ようこそジュラシックワールドへ」

そして、ブルーが今まさにとある街に降りようとしていた。

海の独断的独り言(評)

この映画のCMを観て、まず思いを巡らすのは、活発になる火山活動によって起きる島の滅亡に際して、この島に残された恐竜たちはどうなるのか?オーウェンたちは恐竜たちを救い出すことが出来るのか?それがこの映画のメインストーリーなんだろうなぁ・・・。そう思ったんだけど、いい意味で見事に裏切ってくれました。CMで僕らに見せていたのは、ストーリー全体の前半部分だけだったなんて・・・。やられました。

不覚にも目頭が熱くなてしまったシーンがあって、それは物語前半でオーウェンたちを乗せた捕獲船団が、間一髪イスラ・ヌブラル島を離れていくシーン。オーウェンたちが火山で死の島と化していく様を振り返ると、火砕流にのまれて最期を迎えるブラキオサウルス(首長草食竜)の姿がそこにあった。ブラキオサウルスは、1作目のジュラシックパークで、いちばん最初に登場した恐竜で、僕らのハートを鷲掴みにしたアイコン的恐竜の一つだった。そのプロキオサウルスが、島の終焉と共に死んでいくという演出がジュラシックファンなら涙ををそそられるに違いない。

シリーズにおいて人気の恐竜と言えば、T-REX(ティラノサウルス)と並んでヴェロキラプトルがあげられる。ジュラシックパーク三部作では、ヴェロキラプトルは人を狙う(食す)恐怖の象徴の一つだった。ところがジュラシックワールドでは、オーウェンというラプトルの飼育係の登場で、調教された恐竜となった。ラプトルの仕草には犬や猫のようなペット的な要素が見て取れるようになる。本編において、ヴェロキラプトルのブルーは可愛いのだ。炎の王国ではインドラプトルがそれを補完している。

今まで恐竜は、イスラ・ヌブラル島に限定されていたが、今回の事件で人間社会に解き放たれてしまうことになった(2作目ロストワールドで一度、T-REXが人間社会に来たことはあるが・・・)。次回作があるとすれば、人間社会に紛れ込んでしまった恐竜にスポットが当てられるだろう。人間が作り出した古代の怪獣(恐竜)が、人間を恐怖に陥れる。連邦議会での演説でマルコム博士は、「人間が制御しきれないテクノロジーを使ってきたのが原因と言った上で、これからは人間と恐竜が共存する時代がやってきた」と告げる。それは行き過ぎたテクノロジーへの警鐘に聞こえるが、裏を返せば過剰なテクノロジーを操る側の人間への警鐘だ。欲望やエゴを抑えることが出来ない人間への警鐘なのだ。ジュラシックパーク~ジュラシックワールドへと続くこのシリーズの根幹をなすテーマは、まさにそれで一貫している。

未来のミライ

簡単なあらすじ

とある都会の片隅の、小さな庭に小さな木の生えた小さな家。主人公の“くんちゃん”は、甘えん坊の4歳の男の子。ある日、くんちゃんの前に生まれたばかりの妹“ミライちゃん”がやってきます。当然のごとく両親の愛情はミライちゃんに集中。愛情を奪われたと勘違いするくんちゃんは、初めての経験の連続に戸惑い「妹なんて好きくない!」と、赤ちゃん返りしてしまいます。

そんなくんちゃんは、ある日庭で見知らぬ男と出会います。自称“王子”を名乗るその男は、「お前は嫉妬しているのだ」とくんちゃんにいいます。そして愛を失ってどんなに悔しくて惨めだったかを語り始める。(自称“王子様”のその男の正体は、実はダックスフントの“ゆっこ”でした)

産休を経て、お母さんが仕事に復帰しました。お母さんは「お雛様をしまっておいてね」とお父さんに声をかけ出かけていきます。何でも、お雛様をしまうのが一日遅れると一年婚期が遅れるのだとか。お父さんは、なれない家事をこなしてようやく自分の仕事の時間をみつけると、それに集中してしまい、くうちゃんのことはもちろん、お雛様のことなんてすっかり忘れている様。

ひとりで面白くないくんちゃんは、またまた庭へ、するとまたあの不思議な感覚が。くんちゃんの目の前に現れたのは、セーラー服を着た少女でした。それは未来から来た妹のミライちゃんでした。ミライちゃんはくんちゃんに「お雛様を早くしまってってお父さんに言ってきて」と頼むのでした。(未来のミライちゃんは婚期を気にしているようです)

くんちゃんとミライちゃん、そして人間の姿になったゆっこまで参加して、お父さんに気づかれないうちに、お雛様を片付けようとしますが、タイミングが合わずにすったもんだ。そしてなんとか片付け終えるのでした。

夜になってお母さんが帰宅。片付けを命じられたくんちゃんは、またまた駄々をこね悪態をつきまくります。そしてまた外に出ると、そしてまたまた不思議な感覚が・・・、そこには赤い傘と、しゃがんで泣いている女の子がいました。「何が悲しいの? よしよし泣かないで」と近づいて見ると、女の子は昔のお母さんでした。そしてくんちゃんは、お母さんの子供の頃の出来事を共有するのでした。

ある日、くんちゃんはお父さんとミライちゃんと近所の公園にやってきて自転車の練習をしていました。なかなか上手く乗れないくんちゃん、お父さんは泣いているミライちゃんにかかりっきり。「お父さん!」と何度呼んでも、こっちをむいてくれません。「お父さん好きくないの!」と悪態をつくくんちゃん。そしてまたまたまたまた不思議なことが・・・。そこは作業場のような所で、一人の青年(実はくんちゃんのひい爺さん?)がバイクをいじっています。くんちゃんは男に促される様に、馬に乗せられたりバイクに乗せられたり、怖がるくんちゃんに、青年は「怖がると馬も怖がるぞ」とか、「下ばかり見るな。ずっと先を見ろ」と助言をするのでした。

不思議な体験のあと、くんちゃんは再び自転車に挑戦、「ずっと先をみろ」という男の声を思い出し、懸命に自転車をこぎます。転ばずに自転車を漕ぐくんちゃんを見てお父さんは大喜びです。「乗れるようになったね」「一緒に遊ぼう」、公園で知り合った子供たちに誘われるように、くんちゃんは一緒に自転車で遊ぶのでした。

くんちゃん達家族がキャンプに出かける日、くんちゃんは自分が履くズボンの色をめぐって駄々をこねます。そして無理をいいまくっているうちに誰もいなくなってしまいました。慌てて外に出ると、またまたまたまたまた不思議な体験が・・・。

田園の中にある無人駅。くんちゃんは待合室で高校生くらいの少年に会います。そこに電車が入ってきました。「乗るなよ」という少年の声を無視して、くんちゃんは電車に飛び乗ってしまいます。電車はいつの間にか東京駅に着きました。迷子のくんちゃんは、お客様苦情係のところへ。でもくんちゃんはいろいろな質問にまったく応えることが出来ません。自分を証明できないと、不気味な新幹線に乗せられ一人ぼっちの国へ送られてしまいます。その時、ホームに不気味な新幹線が入ってくるのが見えました。「いやだー」くんちゃんは怯えて怖くなり叫びました。するとそこに未来のミライちゃんが現れて、「見つけた。家出したのに迷子になるなんてバカみたい。行くよ!」

今くんちゃんはミライちゃんは、くんちゃんちの家系の歴史の中を彷徨ってます。そこで家族の様々なエピソードを垣間見ます。お父さんが補助輪なしの自転車に乗れたのはくんちゃんの年よりもかなり後だったこと。ゆっこがうちの家の犬になること。猫にやられたひなを手に持って泣いているお母さん。戦争で海に投げ出されたひい爺さんの若きころの姿。そして駅で出会った少年にミライちゃんが「お兄ちゃん」と呼んでいること。あの少年は未来のくんちゃんだったのです。

気が付くと、くんちゃんは家の中にいました。もめた原因となった黄色いズボンは乾いていて。くんちゃんは着替えようとするけれど、結局青いズボンのまま飛び出していきました。くんちゃんの目の前では、お父さんとお母さんがキャンプの荷物を懸命に車に積み込んでいる姿が見えました。

海の独断的独り言(評)

「時をかける少女」「サマーウォーズ」「おおかみこどもの雨と雪」「バケモノの子」細田守の作品は、規模こそ違うにしろ“家族”をテーマに描かれている。そして・・・

「未来のミライ」も家族の物語だ。

4歳の男の子“くんちゃん”の視点から描かれた、子供の成長ドラマ(いや、目立たないが家族の成長物語でもある)。かな?って感じの映画。普通の子供だったら、5年・10年をかけて体験して自覚していくものだけど、くんちゃんは感情が爆発するたびに起きる不思議な体験を通して自覚していく。

くんちゃんは「甘えん坊」で「わがまま」で「臆病」で「泣き虫」で「散らかし屋さん」だったりする。そのどれもがお母さんやお父さんの子供の頃の性格だったりする。また克服すべき仕草や性格とかは、青年(ひいお爺ちゃん?)から助言を受けたりする(くんちゃんのイメージの中で理想の男性なのかもしれません)。

大人がこの物語に触れる時、ふと自分の子育てを思い起こすだろう。そしてこんなことを認識するのかも知れない。子供を育てるのは親だけではない。いろんな物を見て、いろんなものに触れ、様々な体験の中で、勝手に成長するパワーを子供は持っているのかもしれないと。

あなたも、くんちゃんの体験する不思議な旅につきあってみては。

劇場版 コード・ブルー/ドクターヘリ緊急救命

簡単なあらすじ

3rd Season最大のヤマ場だった「地下鉄駅トンネル内崩落事故」から3か月、瓦礫の下敷きになった怪我も癒えた、フライトドクターの藤川一男は、同僚のフライトドクター緋山美帆子、フライトナースの冴島はるか(藤川の婚約者)と一緒に、小学生の屋外教室で緊急救命についてのにわか講師をやっていた。一方救命救急のリーダーである白石恵は、オフィシャルな救命救急の講習を壇上で行っていた。灰原俊平名取颯馬横峯あかりの三人のフェローも、アシスタントを兼ね、講義を受けていた。そしてそこに「ドクターヘリ出動要請」の非情な通報が入る。

ドクターヘリが向かう場所は「成田空港」。飛行中の旅客機が乱気流に見舞われケガ人が多数発生したらしい。成田空港に到着した白石たち、が現場では既にトリアージがある程度すすんでいた。「いったい誰が?」疑問を抱く白石。その時、機内からケガ人を抱いた一人の男がタラップを降りて来た。それは準備の為トロントに行ってたフライトドクターで脳外科医の藍沢耕作だった。彼は事故の起きた飛行機に偶然乗り合わせていたのだった(トリアージがある程度進んでいたのは藍沢の手によるものだったのだ)。

相沢が機内から運び出した負傷者は、富澤未知という女性でした。ケガ自体は重いものではなかったが、彼女は末期のスキルス性胃がんに犯されていました。翔北救命センターに入院した未知の前に、未知の病に向き合えず一度は彼女の目の前から去った婚約者の彰生が現れます。そして最後までそばに寄り添いたいと語るのでした。彼女は「忘れられるのも嫌、だけど引きずられるのも嫌。」という微妙な心情を冴島にこぼす。再度の結婚式を来月に控えた未知と彰生だが、未知の容体が不安だった。そこで冴島は、藤川との結婚式の日取りと会場を二人に譲ることにします。未知はバージンロードを車いすで進み、指輪交換をした直後に吐血、救命センターに逆戻りすることに。

救命センターに、首に包丁が刺さった女性が急患で運ばれてきた。それは家を飛び出して、長年自分から遠ざけていた“雪村双葉(フライトナース)”の母親だった。首の包丁をなかなか抜かない救命医に業を煮やし、自ら勝手に包丁を抜きショック状態に・・・。雪村の母親の傍若無人な振る舞いに雪村は振り回される(最後には二人は和解する)。

そんな救命センターに、「アラート・レッド、ドクターヘリ出動要請」が鳴り響く。東京湾に浮かぶサービスエリア“海ほたる”にカーフェリーが激突し負傷者多数という事故の一報だった。第一陣で白石・藍沢・雪村が海ほたるに向かう。トリアージが進む中、レスキューからフェリーの船内への救援要請が入る。そこには車中でパイプに串刺しになって取り残された男性がいた。相沢は患者の容態を考え、腹部を裂いてパイプから引き抜く手段を白石に提案する。「勝算は?」と白石が相沢に尋ねると、「わからない、まして経験がない」と相沢の答え。それだけ難しさを感じる処置だ。しかし二人はこれが最善だと判断し、そしてやってのけるのだった。

後続で、緋山・藤川・冴島・名取・灰谷・横峯と救命のチームの面々が到着する。フェロー達もトリアージや救命措置をこなしていく。頼りなかった連中の成長に、緋山、藤川や冴島たちは笑みを浮かべる。

そんな中、再びフェリー船内に戻った藍沢たちは、階段で階下へ、その時藍沢が足元で漏電を発見。藍沢はとっさに前を歩く白石と雪村をかばって二人を突き飛ばし、そして自らは感電してしまい、階段の中断から数メートル下へ落下してしまいます。藍沢は意識を失い、翔北救命センターに搬送。仲間の事故にまたも白石は自分を責める。緋山、藤川、冴島の同期たちはもちろん、後輩のフェローたちも藍沢の無事を願うのだった。そして程なくして藍沢は意識を回復するのだった。

海ほたるフェリー衝突事故が落ち着き、それから数日の時が流れ・・・。

翔北救命センターでは、藤川と冴島の延期された結婚式が、仲間たちが画策したドッキリで祝われていた。二人を祝う救命のメンバーたち。そしてそこには、未知との挙式を挙げてもらった彰生も出席していました。式の料理は、緋山の恋人で緒方が担当、つくったのは緋山だが、味付けの指導は緒方だとか。ここんとこ二人はちょっとしたケンカでギクシャクしていたが、仲直りし改めて将来に向かって歩むことを誓うのだった。

式の後の夜明け? ドクターヘリのヘリポートに藍沢、白石、緋山、藤川、冴島の5人がいます。5人はそれぞれに出会ってからの10年を思い返していました。藍沢はトロントへ、緋山は周産期医療センターへ、白石・藤川・冴島は救命救急でと、それぞれのこれからの進む道を強く確認するのだった。

海の独断的独り言(評)

7月27日に封切られたこの映画、僕は初日に観たのだけど、劇場はレイトショーにもかかわらずほぼ満席状態。改めて「コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命」という作品の人気の凄さを感じました。ただ、率直な感想を言わせてもらうと、「これ劇場版にする意味があったのかな?」というのが本音。“シリーズ最大のスケールとスペクタクルで描かれる大規模災害”と謳っただけに、本編でのその表現はあまりにも稚拙でTVシリーズとほぼ変わらない感じだったのが残念でした。これならばTVスペシャルでもよかったんじゃないか?と思ってしまいました。

とは言え、力量と経験は乏しいがそれぞれに夢と野心を持って集まったあの5人が、シリーズを通して成長し、この作品でそれぞれが一応の答えを導いているので、「コード・ブルー」ファンとしては、やはり見るべき作品なのかなぁと思います。

作品のエンドロールでは、救命の仲間たちが、藤川と冴島の結婚を祝うビデオメッセージが流れるのですが、これは本編中で、藤川が白石に「結婚式でのビデオメッセージを作ってくれ」という無茶ぶりのお願いをする。白石は非協力的な藍沢や緋山などをなだめながら制作した苦心の作品なのだ。「非協力的な藍沢や緋山が一番いいメッセージ言ってるじゃん」てな感じで、ふふっと微笑んでしまいますよ。

そしてエンディングでは、トロントに行った藍沢の活躍シーンが。「藍沢、てめえ格好いいじゃねえか」って感じのシーンです。