新しい解釈でスタートした「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」も、今回で第三章を迎えた。今回のテーマは「純愛」、第三章にしていきなり核心をつくテーマです。
今回の第三章“純愛篇”で、古代進に課せられた試練が二つ。彼はどう乗り越えるのか?
あらすじ
第二章のクライマックスで第十一番惑星にて避難民を救出したヤマトだったが、ガトランティスの攻撃に巻き込まれてしまう。必死に応答を求めるコスモタイガー隊の加藤や山本。岩塊に埋もれながら、波動防壁とマグネトロンウェーブを駆使して、かろうじてヤマトは健在であった。そんな非常事態にも関わらず、頭上にはおびただしい数のガトランティス増援艦隊が次々にワープアウトし、不思議な陣形を構成していた。ガトランティスの狙いは、第十一番惑星を周回する人工太陽を超新星爆発させて十一番惑星もろとも消滅させ、さらにそのエネルギーを使って地球をも葬り去ろうという作戦だった。しかしイスカンダルとの約束によりヤマトは波動砲を封印している。はたして古代は自らの決断で封印を破り、指揮官としての覚悟を示すことができるのか?
第十一番惑星での戦いを終えて、古代は自らの決断に対して自責の念でひとり苦しんでした。そんなさなか悩む古代を案じて森雪が古代の前に姿を現す。雪は看護師としてヤマトに密航していたのだ。そしてヤマトは一路、避難民を地球へ向かうガミラス艦隊に託すため惑星シュトラバーゼへと向かう。ガミラス艦隊と接触したヤマト、古代は避難民引率の任務を森雪に命じヤマト下艦を促す。がそこにガミラスの反乱軍一派の襲撃を受けることに、ヤマトは防戦に応じざるを得ない状態に。一方その頃、遺跡に単身誘い出された古代は、ガトランティスのズォーダー大帝との邂逅を果たしていた。見解が相違する“愛”を巡る対話、ズォーダーは「おまえの愛を示せ」と、古代に恐るべき選択を迫る。
果たして古代は大いなる試練を乗り越えることは出来るのか?
古代(ヤマト)に課せられた二つの試練
今回の第三章“純愛篇”は、本作品全編において非常に重要なポジションを占める内容となっていると思います。前作の「宇宙戦艦ヤマト2199」において、「もう私たちのような愚行は繰り返さないで欲しい。」と、イスカンダルのスターシャと交わした約束“波動砲の封印”。そしてガトランティスの大帝“ズウォーダー”から新たに課せられた試練が「お前の愛を選べ(示せ)」というものだ。
波動砲の封印
第十一番惑星において、イワシの大群陣形(誰が見てもそう思うよ、きっと)をとるガトランティスの巨大戦艦群。超新星爆発を誘発させて第十一番惑星と地球を宇宙に葬ろうとする作戦に対して、ヤマトは波動砲を撃って危機を脱するほか手段はない。この危機的局面に古代は、波動砲発射を決断するわけだけど、自身の信念と相反する決断に自分を責め苦しむ。沖田艦長の幻が言う「古代、覚悟を示せ!」に対して、古代は「覚悟って何なんですか?」と一人吠えるシーンからも、彼の苦悩が伺える。
「お前の愛を選べ」
「・・・国のため、家族のため、信念のため、愛ゆえに奪い合い、殺しあう人間の無残は見るに堪えない。・・・愛ゆえに人は死に星は壊れ宇宙は亡びる。・・・そうお前の船がしてきたことだ。」
「お前はこれまでに多くのものを失ってきた、だから人一倍恐れている、愛する者が死にゆくことを。・・・見せてやろう、お前の愛が何を救い、何を殺すのか?」
惑星シュトラバーゼにある古代アケーリアスの遺跡内で、ガトランティスの大帝“ズウォーダー”と古代が対峙し、「真実の愛」を語るズウォーダーに古代は困惑する。そして追い打ちをかけるが如くズウォーダーは罠を仕掛ける。
「一隻だけ助けてやる、その一隻をお前が選べ。お前の信じる愛に従って選べ。」
ズウォーダーは、避難民を乗せた三隻のガミラス艦それぞれに自爆する蘇生体を忍ばせていた。そしてその内の一隻を爆破させないとし、それを古代に選択させようとしたのだ。
古代は苦悩し、真相を知った雪は想像を絶する思い切った行動にでる。「選ばせない。」と・・・。
雪と古代がとった行動は、ズウォーダーが描く「エゴ故の愛」とは違う、「無償の愛」に今度はズウォーダーが困惑する。
ワクワクする様々な設定や仕掛け
今回もワクワクする設定や次回作(第四章以降)に向けて気になる設定が満載でした。思いつくままに列挙してみると・・・。
レギオネルカノーネ
第十一番惑星の宙域において、ガトランティス巨大戦艦(カラクルム級戦闘艦)が次々とワープアウト。特殊な陣形(イワシの大群陣形)をとりながら、最終的には約250万隻もの巨大戦艦群で大砲のような筒を形成する。そこに第十一番惑星を周回する人工太陽を取り込んで超新星爆発を起こさせ、第十一番惑星の消滅と射線上にロックオンされた地球を攻撃する、ある意味波動砲よりも恐ろしい武器。だけど結局ヤマトの波動砲によって阻止される。爆発した人工太陽からは電磁パルス的なものが発生し、250万隻のガトランティスの巨大戦艦は機能停止に陥ってしまう。
古代アケーリアス文明
避難民を地球に向かうガミラスの定期便にトランジットさせる為に、惑星シュトラバーゼに立ち寄ったヤマト。そこに古代アケーリアス文明の遺跡が存在した。その遺跡内で古代はズウォーダー大帝と邂逅する。
古代アケーリアス文明は、「宇宙戦艦ヤマト2199」で超空間ネットワーク(亜空間ゲート)を構築したといわれる古代文明として語られる。またその後「宇宙戦艦ヤマト2199 星めぐる方舟」では、アケーリアスの末裔と称するジレル人が登場する。さらにさかのぼれば、「宇宙戦艦ヤマト 完結編」で銀河を回遊しながら星々に生命の恵みと試練を与える“惑星アクエリアス”というのが登場する。古代アケーリアス文明はこれに相当するのかな?
ま蘇生体として送り込まれ先行して遺跡に潜り込んでいた考古学教授(名前覚えてない・・・)が「人間たるすべての源、古代アケーリアス人。・・・何故、己の似姿を星々に広めた?」と遺跡に語るシーンがある。ということはジレル人をはじめ、地球人もガミラス人もイスカンダル人もザルツ人も起源は同じなのか?
今後ストーリー展開の中で何かしらの言及や解明がされていくのかもしれませんね。
ガトランティスとテレザート
古代アケーリアス文明にも関連してくるのだけど、古代とズウォーダーが邂逅する中でズウォーダーが、「我らはガトランティス、作られし命。戦いのために作られた人の似姿。・・・もっとも我らを創造した文明は既にない。」「我らは一個体としては生殖能力を有していない。故に愛というしがらみから自由でいられる。」と語る。はたしてガトランティスを創造した文明とは?何故古代アケーリアス文明の遺跡の中でこの話が交わされているのか?ひょっとしたらガトランティスも・・・?。そうなるとテレザート人の起源も気になるところです。
またガトランティスは、テレサの力を欲している。現状惑星テレザート派ガトランティスに包囲され、テレサは幽閉されている状態なのだろう。テレサの力とは?気になるところです。「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」「宇宙戦艦ヤマト2」では、テレサは反物質ということだったけど・・・。
キーマンと謎の高貴な一族との関係
ヤマトに同乗するガミラス高官“キーマン”に不穏な動きが・・・。
惑星シュトラバーゼで接触したガミラス艦は、実はキーマンのシナリオによるものだった。このめぐり合いをガミラス艦の艦長は、「高貴な一族の力」と例えた。この「高貴な一族」とは何なのか?また避難民をガミラス艦へ移送最中に出現するガミラスの反政府軍。これもキーマンのシナリオに沿って呼び寄せたものらしい。今後もキーマンからは目が離せません。
反波動格子
惑星シュトラバーゼで接触したガミラス艦の艦長からキーマンが受け取った装置が「反波動格子」。
この装置をヤマトの波動エンジンに忍ばせることで、遠隔操作でコントロールが可能になる。また破壊も可能らしい。ガミラスの反乱軍の出現によって発生したどさくさに便乗して、キーマンはこの「反波動格子」をヤマトの波動エンジンに忍ばせることに成功している。
目的は何なのか?どんなシーンで使うことになるのか?果たしてキーマンは敵か味方か?
避難民からヤマトクルー(看護師)になった謎の美女
第十一番惑星では、考古学教授の助手として初めて登場した黒髪の謎の美女。ガトランティスの襲来時では、ビルの高層階からガトランティスを導くようなポーズをとってみたり、そして避難民に混じってヤマトに避難。惑星シュトラバーゼでは古代を遺跡まで案内し、後頭部を「ゴン!」。戦時においての経験から看護師としてヤマトのクルーになった後も、艦内で盗聴をしたりと、怪しく謎だらけ。第十一番惑星や遺跡でとった行動から察すれば、ガトランティスと関係がありそうだが・・・。
謎の美女とキーマンの関係
謎の美女「刺客は無事だった?・・・ここへ来れば会えると思って。」
キーマン「何の真似だ?」
謎の美女「そう、このぬくもり。・・・黙っててあげる。」
この意味深な会話。二人はどういう関係なのでしょうか?(文春砲に撃ち抜かれそうな関係?なわけないか・・・)
これらの仕掛けが、今後のストーリーにどのように関わっていくのか?
目が離せません。
あ、それと劇場でエンドロールが流れると同時に、席を立つお客さんが数人見受けられましたが、今回の第三章では絶対に席は立ってはいけません。っていうかエンドロールが終わっても席を立たないでくださいね。何故なら・・・
奴が登場します。
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