日曜日の午前9時、フジテレビ系列では今、「ゲゲゲの鬼太郎」がオンエアされている。1968年の最初の鬼太郎から数えて、6シーズン目を迎えている様だ(深夜にオンエアされていた「墓場の鬼太郎」も含めれば7シーズン目)。
キャラクターのデザインも子供っぽく、内容もキャラクター同様“怖さ”はない。なので僕は毎週のようには見ていない(他局の報道番組を見ることが多い)のだけど、たまたま偶然に朝食を食べるときにチャンネルがフジテレビだったので見てしまった。
その「ゲゲゲの鬼太郎」で、今回“戦争”をテーマにしたストーリーのものがやっていた。ちょっと興味深かったので記事にしてみようと思い・・・。
簡単なあらすじ「妖花の記憶」
鬼太郎や猫むすめを慕う人間の友達、“犬山まな”のお母さんのおばさん(淑子)がケガをして入院した。お母さんはまなを連れて、淑子おばさんの見舞いに行く。見舞いに来た二人に対して、淑子おばさんは「自宅に咲く花の様子を見てきて欲しい」と頼む。
まなとお母さんは、淑子おばさんの家に。庭はもちろん、垣根や家の壁や屋根にまで、赤い花が覆うように咲き乱れていた。家の整理をしていると一枚の写真を見つける。そこには若い頃の淑子おばさんと隣には青年が写っていた。写真の後ろには「総二郎さん」とかかれていた。そんな時、まなの元を鬼太郎たちが尋ねる。そして咲き乱れる赤い花を見て。これは「妖花じゃ」と目玉おやじがまなに告げる。しかしこの妖花からは、邪悪な妖気は感じられず、遠い南方から妖気が届いていることがわかる。調査の必要がありそうだと判断した鬼太郎達とまなは、遠い南方の島に赴くのだった。
南方の島に着いた鬼太郎達は、いきなり日本文の戦没者慰霊の石碑を目にする。そうここはかつて太平洋戦争において戦場となった島だったのだ。島の奥へと進む一行は、ジャングルの中で森林を伐採する日本の企業と出会う。赤い花の所在を確認するため、現場監督に赤い花の写真を見せると現場監督は急に怯えだすのだった。なんでもその赤い花を見つけてからというもの、毎晩恐ろしい音が周辺に鳴り響くようになったとのこと。
夜、異様な音が鳴り響き始める。それは戦時の爆撃や進軍や銃撃の音だった。足跡の導く先にはあの妖花が咲き、その真ん中には大きなご神木が生えていた。そして神木の根元には旧日本兵のおびただしい亡骸が・・・。目玉おやじは言う、「夜中に鳴り響く戦争の音は、このジャングルを守る森の精霊の仕業じゃろう、本体は人に危害は加えないが、亡骸や神木に手を出すものに対し威嚇していたのでは」と。
そして多くの亡骸のうちの一体が、妖花を生み出しているということがわかった。その亡骸の手には沢山の出されないままの手紙がありました。送り主を見ると“沢田淑子様”と書かれており、それはまなのおばさん、淑子おばさんへの手紙だということがわかりました。そして差出人には“総二郎”と。命を落とし伝えられなかった想い。その無念さが妖花を生み、風に乗り海を越えて叔母の家へ妖花を咲かせたのだと、目玉おやじは推測する。
そしてまなは総二郎からの手紙を携えて日本に帰り、淑子おばさんの元へ向かうのだった。
中学生の目線で描く戦争の記憶
授業で習ったとはいえ、中学生のまなには実感のない“戦争”。南方の島で戦没者の慰霊碑を見ても尚、まなの中では実感が湧かないでいる。夜中に鳴り響く戦争の音、まなを追いかける足跡、神木の根元の多くの亡骸。そして亡骸が手に携えていた淑子おばさんへの手紙。それらを経て中学生のまなは、この南方の島で大勢の日本人が戦争で、それぞれの無念の思いを抱いて散っていったことを、実感していく。
そして・・・戦争という事実を
「私たちは知らなくてはいけない。決して忘れてはいけないことなんだ。」とまなは思う。
作者の“水木しげる”は、太平洋戦時下に、ニューギニアやラバウルへと戦地へ赴いている。そして左腕を落としている。過酷な戦争体験は、当然ながら作品にも投影されている。この「妖花」を題材にしたものもその一つだ。調べてみると、第一シリーズや第三シリーズでも「妖花」を扱った物語が8月に放映されているのがわかった。もう僕の記憶にはなかったけど、きっと同様なテーマなのだろう、と思う。
とにかく子供向けの内容が多い、今シリーズの「ゲゲゲの鬼太郎」だけど、今回の話はちょっと「油断した」って感じです。子供に向けての「戦争」という問いかけなのだろうけど、大人が観ても楽しめて感動すらある内容でした。
そういえば今年の8月は、戦争関連の番組が少ないような気がするのは気のせいか?
視聴率度外視で放送してもらいたいものです。戦争の記憶を風化させないためにも。。。