「スター・ウォーズのキャラクターの中で、誰が一番好き?」と聞かれて、おそらくダース・ベイダーと人気を二分するであろう“ハン・ソロ”。ハリソン・フォードの演技やそのキャラクターに負うところは大きいとは思うが、どことなく闇を感じる謎に包まれた過去、自由で法に捕らわれないアウトローぶり、射撃の腕や宇宙船の操縦は超一流。そんなところがファンを惹きつける。

そんな愛すべきハン・ソロの過去を描いた伝説ストーリーが、「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」だ。

夢多き野心家ソロの出会いのストーリー(あらすじ/ネタバレ)

旅立ちと別れ

惑星コレリアに一人の夢多き野心家の青年がいた。ハンはパートナーで恋人のキーラとともに惑星の脱出を模索していた。ギャングのリーダー・プロキシマの命を受け、ハンは特殊燃料コアキシウムを入手するが、ハンはこれを使って惑星脱出を画策する。がプロキシマに捕らえられてしまうのだが、隙を狙って逃げ出すことに成功、そして宇宙港へ向かう。

二人は宇宙港で出国ゲートのスタッフとコアキシウムを使って乗船の取引を申しでる。取引は成立するが、出国寸前にキーラはギャングに捕らえられ、ハンのみが出国することになる。必ずキーラを救い出すと誓い、ハンは帝国のパイロットに志願する。ハンという通称しか持っていなかった彼は、その時帝国のオフィサーに、一人孤独な彼の状況から、“ソロ”という名字を与えられる。ハン・ソロの誕生だ。

運命の師と親友(パートナー)との出会い

コレリア脱出から3年後、ハン・ソロは惑星ミンバンで歩兵として前線で働いていて、帝国のフライトアカデミーはクビになっていた。彼はそこで不穏な行動をとるベケット、ヴァル、リオと出会う。彼らはトルーパーに成りすました銀河をまたに掛けた盗賊だった。その正体を見抜いたハンは、彼らの仲間に加わるべく、自分が敏腕パイロットであることをアピールするが、ベケットはそれを鼻にもかけなかった。ハンは軍に捕らえられ、その懲罰として牢獄内に棲む飢えた野獣の餌とされてしまう。しかしこの野獣がウーキー族の“チューバッカ”だった。ハンはチューバッカにボコボコにされるが、ハンが片言のウーキー語を操り、チューバッカと意思の疎通をはかる。そして二人は結束して牢獄から脱出する。ハンとチューバッカ、生涯のパートナーとの運命的な出会いだった。

脱出したハンとチューバッカは、ベケットが船で去ろうとするところを見つけ、なんとかベケットの船に乗ることに成功する。ハンにとってベケットとの出会いも、生涯において大きな意味をもっていた。

決死の強奪ミッションと思いがけない再会

ベケットの仲間に加わったハンたちは、コアキシウムを輸送する帝国の輸送列車の襲撃を企てるが、防衛にあたる帝国軍に加え、エンフィス・ネスト率いる海賊も参じて、ミッション・イン・ポッシブル並みの三つ巴の強奪戦に。結局強奪は失敗に終わり、しかもベケットの仲間だったヴァルとリオは命をおとすことに・・・。

コアキシウム強奪に失敗した一行は、ベケットのボスにあたるドライデン・ヴォスに報告をしに、ドライデンの船に向かう。そこでハンは、コレリアで生き別れたキーラと思いがけない再会を果たす。キーラはハンと別れたあと、紆余曲折を経てドライデンに拾われ従事していたのだった。ドライデンはベケット達から、コアキシウム強奪失敗の報告受け、静かに怒る。協議の結果、惑星ケッセルのスパイス鉱山から精製前のコアキシウム奪い、それを惑星サバリーンで精製してドライデンに渡す計画を企て、ドライデンはこの計画にキーラを参加させることに。

悪友と愛機との出会い

計画を成功させるために必要な星間高速巡航艇が必要だ。艇を入手するためキーラの導きで、惑星ケッセルに向かう途中、この後ハンの悪友となる、密輸業者ランド・カルリジアンに会う。狙いは高速艇・ミレニアム・ファルコンだ。

ハンはランドとサバックというカードゲームで対決。結果はランドの巧みなイカサマに引っ掛かり逆転負け。船を失うところだったが、ハン達の計画に興味を示したランドは、分け前を条件にミッションへの参加を決意、一行はミレニアム・ファルコンでケッセルに向かう。

コアキシウム強奪作戦

惑星ケッセルのスパイス鉱山に到着した一行は、早速コアキシウム奪取作戦を実行するのだが、犯罪集団パイク・シンジケートに阻まれ苦戦。鉱山内は大混乱。チューバッカは強制労働囚人の同胞ウーキーたちを開放しようと別行動するし、ランドのパートナードロイドL3は、ロボット囚人を開放しようと大暴れ、あげくの果てに凶弾によって破壊されてしまう始末。それでも何とかコアキシウムを奪った一行は、惑星ケッセルを脱出。が、そこに帝国軍が現れ脱出を妨害、タイファイターの攻撃を受ける。ファルコンの機内では、負傷したランドがL3を失って悲しみに暮れている中、ハンはファルコンの機能修復に、L3のコアプロセッサを使いケッセルジャンプ・12パーセク(大ワープ)を敢行。ブラックホール内のドタバタも切り抜けつつ、コアキシウム精製の為、惑星サバリーンを目指す。

惑星サバリーンでは、ハンたちが強奪したコアキシウムの横取りを狙うエンフィス・ネストがまたまた登場。立ちはだかるエンフィス・ネストに対して、ハンは「ファルコン号の中には30人の傭兵がいる」とハッタリをかますが、次の瞬間、機内にいたランドはファルコン号とともに飛び立ってしまう。

エンフィス・ネストと対峙するバツの悪いハン。そこにドライデン・ヴォスのクルーザーが現れる。エンフィス・ネストとのやり取りの中で、彼らの真意が“打倒帝国”だと気づいたハンは、コアキシウムをドライデンではなくエンフィス・ネストに提供しようと考える。が、ベケットはその協力を拒否、ドライデンに殺されることを恐れ、会わずにハンの元から去っていく。

騙し合い、別れ、そして旅立ち

ハン、チューバッカ、そしてキーラはドライデン・ヴォスの元へ、コアキシウムを渡すが、ドライデンは偽物と見抜く。そしてそこに去ったはずのベケットが現れる。コアキシウムが偽物だという入れ知恵はベケットだった。本物のコアキシウムがエンフィス・ネストの手にあることを知ったドライデンは、手下を地上に差し向ける。ハンたちはドライデンと対峙し、彼らを倒すことに成功します。ドライデンを倒したのは、彼に仕えていたはずのキーラだった。そしてこのどさくさに乗じてベケットはコアキシウムを持ってこの場から逃げるのだった(コアキシウムは実は本物だったのだ)。

コアキシウムを持って逃げたベケットをハンが追い詰める。撃つそぶりを見せないベケットに対して、ハンがベケットに向けて銃を撃つ。ソロの腕の中で安らかに息絶えるベケット。

ハンはエンフィス・ネストにコアキシウムを渡し、彼女(エンフィス・ネストは少女だった)は、ハンたちに仲間に加わるよう薦めるが、ハンはそれを断るのだった。そんなハンにエンフィスはコアキシウムを一本プレゼントする。

その頃、ドライデンの船内ではキーラがドライデンの死体の傍に・・・。その向こうに映し出されるホログラム映像に、黒いマントを被った男が映っていた。キーラはその男に、ミッションの失敗を伝えていた。その男とは、シスの暗黒卿ダース・モールだった(これは驚きだった)。モールは「惑星ダソミアへ来い」と指示を告げる。そしてキーラはドライデンのクルーザーで向かうのだった。

ハンとチューバッカはランドの元へ。再びサバックでファルコンを賭けてあいまみえる。そしてランドのイカサマを見抜きランドに勝利。見事ミレニアム・ファルコン号を手にすることに成功する。

そして・・・、「もしここを生き延びたら、惑星タトゥイーンに来い、あるギャングが人員を募集している」ベケットが遺したメッセージを頼りに、ハンはチューバッカと共に惑星タトゥイーンに向かうのだった。

ハン・ソロの数々の疑問や伝説の答え合わせが満載

スター・ウォーズの人気キャラ“ハン・ソロ”と言えば・・・。

ミレニアム・ファルコン号のオーナーでパイロット(自称、宇宙最速)。チューバッカがお友達でバディ。ランド・カルリジアンとは腐れ縁の悪友。最速の運び屋(主にヤバいもの)。ジャバ・ザ・ハットに借金があり、窒素冷却された。賞金稼ぎのボバ・フェットとは因縁があるらしい。裏の世界とのつながりが気になるアウトロー。などなど、「スター・ウォーズ」のハン・ソロには魅力や知りたい秘密がいっぱいだった。

「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」は、そんな愛すべきキャラクター、“ハン・ソロ”の答え合わせが出来る映画だ。

ということで、本編で答え合わせが出来る、ハン・ソロの疑問や秘密をピックアップしてみよう。

生涯のバディ“チューバッカ”との出会い

銀河一のパイロットになるのが夢というハンは、帝国軍に入隊。その際に求人のデスクでソロという姓を受け、“ハン・ソロ”と名乗ることになる。その後アカデミーに入校するが問題を起こし除名。歩兵として前線に送られる。生涯のパートナーとなる“チューバッカ”とはそこで知り合うことになる。しかも、生贄として投獄されてたハン・ソロをチューイが食べようと襲ってきたのが出会いのきっかけだ。

特技は身を助けるとはよく言ったもので、ハンは片言のウーキー語で難を逃れ、チューイと一緒に脱獄までやってのけるのです。

愛機“ミレニアム・ファルコン”との出会いは悪友との出会いでもあった

惑星ケッセルの鉱山にコアキシウムを強奪するミッションを行うには、高速艇が必要不可欠。そのためにキーラの案内で向かったのが、密輸業者のランド・カルリジアンの賭場だった。ランドが所有する高速艇が、ミレニアム・ファルコン。宇宙船を賭けてカードゲーム“サバック”がスタート。結果は、ランドのイカサマ炸裂でハンは賭けに負けてしまうが、分け前を条件にランドはミッションに参加する。

このファルコン号を賭けたサバック勝負が縁で、ランドとハンは腐れ縁の悪友となる。そして最終的には、サバックの再戦でランドのイカサマを見破ったハンがファルコン号を獲得することになる。

尚、尚、ナオ、なお・・・、手に入れた当初のミレニアム・ファルコン号は先端が割れていない。

この後どのような紆余曲折があって、ファルコン号の先端が先割れに変化していったのか?気になりますね。

本機(ミレニアム・ファルコン)のベースとなっている、コレリアン・エンジニアリング社製YT-1300貨物船は最高速度に優れた軽貨物船であり、富裕な個人のレジャー船や、小規模の旅客及び軽貨物輸送などを目的として設計されていた

引用:ミレニアム・ファルコン(ウィキペディア)

※その昔、ハンの父親は、コレリアの造船所で同型のYT-1300の製造に加わっていたという事実、運命的な出会いです。

運び屋“ハン・ソロ”の名刺代わりとなった「伝説のケッセル・ラン 12パーセク」

「スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望」、惑星オルデランへレイや姫を救うため、ルークとオビ・ワンが、惑星タトゥイーンの空港酒場で出会った、ハン・ソロが「ミレニアム・ファルコンを知らないのか?ケッセルランを12パーセクで飛んだ船を」とアピールするシーン。また、「スター・ウォーズ エピソード7/フォースの覚醒」では、レイが「これがケッセルランを14パーセクで飛んだという、ミレニアム・ファルコン?」というと、ハン・ソロが間髪おかずに「12パーセクだ」と訂正するシーンなど、スター・ウォーズの中で、“ケッセル・ラン 12パーセク”というキーワードが、ハン・ソロの運び屋の実績として、名刺代わりに、ちょくちょく登場する。本編ではこの逸話が、事実だったということが証明されている。

惑星ケッセルの鉱山からコアキシウムの強奪に成功したハンたち一行は、帝国軍の妨害に会う。早く次の目的地、惑星サバリーンへたどり着かないとコアキシウム爆発の危機がふりかかる。ファルコン号と一体化したL3のコアプロセッサが導き出した最短ルートは、重力井戸や巨大生物の攻撃など、困難なルートながら、無事ジャンプし突破する。これが「伝説のケッセル・ラン 12パーセク」だ。

とはいえ「伝説のケッセル・ラン 12パーセク」は、L3のコアプロセッサとコアキシウムのパワーの恩恵、そしてハンの卓越した操縦テクニックが重なった、偶然の産物でもあるのだ。

闇の世界とハン・ソロとの繋がり

ハン・ソロと言えば、優等生の多い反乱軍のクルーの中において、唯一人“アウトロー”なイメージがある。事実、惑星タトゥイーンのギャング、ジャバ・ザ・ハットに捕まったり、相手が銃を抜く前に容赦なく撃ち殺したりと、「こいつはどんな生き方をしてきたのか?」というような、ワルの部分とか闇の世界とのつながりが気になったりします。

生まれて育ち、そして恋人キーラと過ごした、惑星コレリアでの青年期。プロキシマの犯罪集団にかかわっていた。おそらく貧しい生き抜く手段だったのだろう。その後、惑星ミンバンの前線でベケット一味と出会い、様々なことを学び、ランドとの出会いや、ドレイデン・ヴォスのミッションを実行していく中で、闇の組織との繋がりを太く持つようになる。

そして本編の最後に、「もしここを生き延びたら、惑星タトゥイーンに来い、あるギャングが人員を募集している」というベケットが遺したメッセージを頼りに、ハンは惑星タトゥイーンに向かう。勘のいい方だったらお解りだと思うけど、タトゥイーンのギャングとは、おそらくジャバ・ザ・ハットだ。ハンは今後、さらに闇の世界との繋がりを持つようになるのだろうね。

やっぱり気になる「ハン・ソロ」の続編

ダース・モールとキーラ

ドライデン・ヴォスのボスが、あのダース・モールだったのには少々驚いた。そしてキーラは、そのモールの元へ向かった。この二人の今後の動向は、非常に気になるところ・・・。

ダース・モールの登場は、一瞬時系列がゴチャゴチャになってしまいそうになる。ダース・モールは、エピソード1でオビ・ワンにライトセイバーで胴体真っ二つに斬られ死んだ。というのが、実写版のエピソード1~8のみ観ている人の常識だけど、アニメシリーズも観たことある人ならば、ダース・モールが復活していることが周知の事実だ(『クローンウォーズ』で復活し、『反乱者たち』で再びオビ・ワンに殺される)。これを知っていることで、モール復活後のエピソードだということが理解できる。

ただし、エピソード4でハン・ソロはフォースに懐疑的だったので、キーラとの再びの関わりは有るかもしれないが、ダース・モールとの関わりは無いかも知れません。

惑星タトゥイーンでのエピソードが気になる

本編の最後、ハンとチューイは惑星タトゥイーンに向かう。ということは、やっぱり何といっても、ハン・ソロとジャバ・ザ・ハットの関わりが気になります。本編で賞金稼ぎ“ボバ・フェット”の登場を多くの方が予想としてましたが(僕もしてました^^;)、登場はならず・・・でした。続編があればおそらくハンと何かしら絡んでくることは予想できます。

気になる、ぜひ描いて欲しいエピソードが、まだまだいっぱい。ぜひ続編をお願いしたいところです。

参考資料:スター・ウォーズの時系列

エピソード1~8までのオリジナルストーリを中心に、アニメシリーズの「クローン・ウォーズ」と「反逆者たち」シリーズ、そして「ローグ・ワン」などのスピン・オフも含め、スター・ウォーズは時系列が複雑。その時系列の目安として、「ヤヴィンの戦い(反乱軍がルークの活躍で帝国軍のデススターを破壊した戦い)」を起点に、それ以前の出来事をBBY(Before Battle of Yavin)、以後の出来事をABY(After Battle of Yavin)で表す。

これを元に、「ハン・ソロ」で描かれたエピソードが、時系列的にどのポジションに位置するのか表記してみよう。

時系列早見表

  • エピソード1:「ファントム・メナス」(32BBY)
  • エピソード2:「クローンの攻撃」(22BBY)
  • アニメ:「クローン・ウォーズ」(22BBY)
  • エピソード3:「シスの復讐」(19YBB)
  • スピンオフ:「ハン・ソロ」(13BBY~10BBY)
  • アニメ:「反乱者たち」(5BBY~1BBY)
  • スピンオフ:「ローグ・ワン」(0BBY)
  • エピソード4:「新たなる希望」(0BBY)
  • エピソード5:「帝国の逆襲」(3ABY)
  • エピソード6:「ジェダイの帰還」(4ABY)
  • エピソード7:「フォースの覚醒」(34ABY)
  • エピソード8:「最後のジェダイ」(34ABY)

「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」は、13BBY~10BBYとなり、エピソード3と4の間の出来事ということになる。ダース・モールが登場した時には、一瞬「エピソード1の前の話かぁ?」って思っちゃったもんなぁ。。。その後、記憶を整理して落ち着きました。^^;

■鑑賞データ

「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」(2018,7,1 シネマサンシャイン土浦)