『アベンジャーズ/エンドゲーム』

鑑賞日:2019年4月26日(金)

鑑賞場所:シネマサンシャイン土浦

 

「アベンジャーズが終わる」・・・このフレーズの真意はそういうことだったのかぁ。衝撃のエンディングで幕を閉じた、前作の『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の直後からのストーリーとなる本作品は、これまた衝撃ストーリーの連続でした。痛快、そしてそのエンディングは納得だけど、寂しさを覚えた作品だった。

「アベンジャーズ!!アッセンブル!」この高揚感が堪らない(あらすじ/ネタバレ)

全宇宙の半数の生命を消滅させることに成功したサノス。ソコヴィア協定をめぐるアベンジャーズの内乱以降、軟禁状態にあったクリント・バートン(ホーク・アイ)の家族もその影響を受け消滅してしまい、クリントは混乱と共に悲しみ、そして憤る。

惑星タイタンでの攻防に敗北したトニー・スターク(アイアンマン)とネビュラは、ベネター号で地球への帰還を試みるも燃料も枯渇して宇宙空間を漂っていた。宇宙に出て22日、船内の酸素も残りわずかになり、トニーは自らの最後を悟り、マスクにペッパーへの遺言を残した後、眠りにつく。その直後、船外から強い光が差し込んだ。キャロル・ダンヴァース(キャプテン・マーベル)がトニーらを救出しに来たのである。

スティーブ・ロジャース(キャプテン・アメリカ)、ソー、ブルース・バナー(ハルク)、ナターシャ・ロマノフ(ブラック・ウィドウ)、ローディ(ウォーマシン)ら生き残ったアベンジャーズのメンバーやロケット、そしてペッパーらと再会したトニーとネビュラ。敗北の悔しさからか、トニーはかつてウルトロン計画を非難したスティーブに八つ当たりするも、衰弱が原因で倒れてしまう。

眠りについたトニー以外の面々は、インフィニティ・ストーンを奪還し、消された命を元に戻すため、ネビュラとロケットが特定した、サノスのいる星へと向かう。そこではサノスが何故か満身創痍で隠居生活を送っていた。そこへアベンジャーズが攻め込む。しかし切り落とされたサノスの左腕についたガンドレットにはストーンは一つもついていなかった。サノスは争いの元凶となる全てのストーンを原子レベルまで破壊していたのだった。その場を絶望感が包む中、ソーは衝動的にサノスの首を切り落とすが、もはや全ては手遅れだった。

それから5年の月日が流れ・・・。

生き残ったメンバーは定期的に連絡を取り合いながら、人々を助け、支える為に活動を続けていた。そんなアベンジャーズの本部に珍客が訪れる。それは量子世界に取り残されていたスコット・ラング(アントマン)だった。ホープ、ハンク、ジャネットが消され、量子世界を彷徨い続けていたスコットは、バンに装備されていた小型の量子トンネルの装置をネズミが偶然に起動したことをきっかけに帰還を果たしていたのだった。その後、成長した娘のキャシーと再会し、5年前に起きた惨劇を知り、アベンジャーズ本部へ向かったのだった。そしてスコットは、実世界とは異なる量子世界の時間経過を上手く利用すれば過去へ戻ることが出来るのではないかと提案する。

タイムマシンという残された希望を実現するために、スティーブ、ナターシャ、スコットは、その知能を求めトニーの元へ向かう。トニーはこの五年間でペッパーとの間に娘モーガンを授かり田舎でひっそりと暮らしていた。タイムマシンの依頼を聞いたトニーだったが、スコットの帰還はあくまで偶然いすぎず、タイムトラベルはリスクが大きいと乗り気ではない。しかしその後トニーは、以前から密かに研究をしていたタイムトラベルの理論に、スコットの体験から得た閃きを加味してシミュレーションを再構築し、ついにシミュレーション上の成功をみるのだった。

トニーに追い返された三人は、専門外ではあるがブルースの協力の元、アベンジャーズ本部にてタイムトラベル実験を行うが第一回は失敗に終わる。軽く落胆する中、トニーが現れ、タイムトラベルを行う為の装置が完成したことを伝える。そして、和解の証しとして、没収していたシールドをスティーブに返すのだった。

キャプテンの召集によりロケット、ネビュラが宇宙から、ローディも本部へ到着。ロケットとブルースはソーを迎えにアスガルドの生存者が棲む港町へ向かうのだが、そこには自堕落な生活を送っているメタボなソーがいた。再起を躊躇するソーであったが、ブルースの説得により再びチームに参加する決意をする。一方、ナターシャはクリントを迎えに東京へ。殺し屋へと変わっていたクリントに、迎えが遅れたことを詫びるのだった。

そしてアベンジャーズの計画は、サノスによって消された命を元に戻すために、3つのチームに分かれてストーンの回収する為に過去にタイムトラベルを敢行するというもの。そしてアベンジャーズ史上初の時空を超えたミッションが開始された。

トニー、スティーブ、ブルース、スコットの四人は、アベンジャーズとロキが率いるチタウリの戦いの場、2012年のNYへと飛んだ。

NYのサンクタムへ向かったブルースは、エンシェント・ワンにタイムストーンの譲渡をお願いするが、エンシェント・ワンはそれを拒むのだったが、未来においてDr.ストレンジがサノスにストーンを渡したことへの意味を理解して、納得してブルースにタイムストーンを渡すのだった。そしてマインドストーン(ロキの杖)はスティーブが獲得。残るスペースストーン(四次元キューブ)の獲得は、トニーとスコットの任務だったが、その時代のハルクに邪魔をされストーンはロキに拾われてしまい、回収は失敗してしまう。併せてタイムトラベルに必須なピム粒子が残り1回分しか残っていません。追い詰められた状況の中、トニーはある時期にスペースストーンとピム粒子が一緒に存在する場所を思い出します。そして最後のチャンスをものにするためトニーとスティーブは1970年のニュージャージーの軍事施設へとジャンプ。スコットはロキの杖(マインドストーン)をもって現在へと戻っていきます。

2013年のアスガルドにはソーとロケットがいました。すっかり自信を無くしメソメソするソーにロケットはビンタで喝を入れ、二人はジェーンに寄生したエーテル(リアリティストーン)を回収に向かうのですが、ソーは途中で隠れてしまいます。そんな物怖じするソーに気が付き声をかけたのがソーの母フリッガでした。魔女であるフリッガは、ソーが未来から来たこととトラウマによって弱気になっている心理状態を理解します。そこにリアリティストーンの回収を終えて来たロケットが合流。元気を取り戻したソーはムジョルニアを引き寄せ現在へとジャンプするのだった。

パワーストーンが保管されている2014年の惑星モラガ。そこにはローディとネビュラがいます。そこに同じくパワーストーンを狙ったピーター・クイルがダンスを踊りながら登場。しかしローディのパンチでピーターはあっさりとKO。パワーストーンもあっさりと回収出来、二人は現在に戻ろうとします。その時、ネビュラの脳回路に不具合が発生、ローディはジャンプしたものの彼女だけは2014年に取り残されてしまいます。その原因は、サノスの元に居たその時代のネビュラとタイムトラベルしてきたネビュラとの間に、ハウリングの様なものが発生したためだった。そしてこの時代のネビュラにネビュラのデータが同期してしまい、アベンジャーズの計画がサノスに知られてしまうのだった。ネビュラは捕えられ、サノスは代わりに現時代のネビュラを未来へ送り込むのだった。

ソウルストーン獲得の為、惑星ヴォーミアに向かったのはナターシャとクリントだった。案内人レッド・スカルに導かれ、ストーンを手に入れる為には愛する者の魂との引き換えが条件であることを知る。自らの命を差し出す決意をした二人は、互いに譲らずにもみ合いとなる。が最後には掴まれた手を解くようにナターシャが崖から落ちて命を差し出すのだった。ストーンを手にするクリントだったが、深い悲しみに落胆するのだった。

1970年のニュージャージーの軍事施設では、トニーがスペースストーンを、スティーブがピム粒子を獲得の為、それぞれに行動を開始していた。ストーンを回収しトランクに入れて持ち出そうとしたその時、トニーは父であるハワード・スタークと遭遇する。運命に導かれる様に気さくに声をかけるハワードに対し、自分はポッツだと名乗る。ハワードはトニーに娘がいることを知ると、妻の出産が間近に迫った不安な状況を相談する。「きっと上手くいきますよ」とトニーはハワードを励ますのだった。一方スティーブはピム粒子を回収し施設から出る途中で、偶然にも生き別れた最愛の人ペギー・カーターの姿を見て、感傷にふけるのだった。

ストーンはすべて揃ったが、ソウルストーンの犠牲になって命を絶ったナターシャを悼み、アベンジャーズの本部内には悲しい空気が支配していた。そんな状況の中、「ナターシャの命を無駄にしてはいけない、前に進もう」とブルースがメンバーたちを鼓舞する。6つのインフィニティ・ストーンはアイアンマン式のガントレットに収められ、サノスばりのパワーとガンマ線への耐性からブルースが装着を志願し、そしてガントレットをはめた手の指を弾く。同じタイミングで、サノスの命を受けた過去のネビュラが、タイムトラベルの装置を起動させ、サノスの宇宙船を現在に呼び寄せてしまいます。

消された命の復活は成功したのか?皆が不安気に固唾を飲む中、クリントの携帯が鳴ります。それは家族からの電話でした。クリントが感動するのも束の間、現代にタイムスリップしてアベンジャーズ本部上空に陣取っていたサノスの宇宙船から無数のミサイルが撃ち込まれる。何が起きたか解らずに混乱するメンバーに、トニーは「タイムトラベルの代償だ」と言う。

アベンジャーズ本部は崩壊。宇宙船からはサノスが地上に降臨し、地上は再び混乱し戦場と化す。そしてサノスはネビュラにガントレットの奪還を命じる。ソーが、そしてキャプテンとアイアンマンがサノスに近づき臨戦態勢に。未来を知ってしまったサノスは、インフィニティ・ストーンの使い道を改めたことを三人に告げる。それはストーンの力でこの世界を原子レベルまで消滅させ、新たな世界を誕生させることだった。それを知ったガモーラと捕らえられていたネビュラは、サノスを打倒することを決意する。

スティーブ(キャプテン・アメリカ)、トニー(アイアンマン)そしてソーは個々に、時としてお互いのパワーを活用したコンビネーションを用いてサノスに攻撃を仕掛けるのだが、迎え撃つサノスの力は強大で、ことごとく倍返しされてしまう。インフィニティ・ストーンを備えてなくてもサノスは強い。

瓦礫の中、気が付いたクリントは、ガントレットを見つける。するとそこにサノスの兵士がガントレットを求めてクリントに迫る。クリントは間一髪で逃れるのだが、ネビュラに騙し取られてしまう。しかしそこにガモーラと現在のネビュラが現れる。過去のネビュラは現在のネビュラに撃たれ絶命、ガントレットは再びクリントの手に。

サノスのパワーの前に圧倒される三人。ソーもトニーもダメージを受ける中、ソーの武器ムジョルニアを手にしてサノスに立ち向かうキャプテン。いったんは形勢を押し戻すも底の見えないサノスのパワーに盾を割られてしまう。さらに宇宙船からは無数のサノス軍の兵士が地上に降りてきて、アベンジャーズは最大の危機を迎える中、キャプテンにサム(ファルコン)からの無線が入る。そして空間にいくつものオレンジ色の輪が発生し、その輪の中からは、ワカンダからブラックパンサーを先頭にワカンダの兵士たちが、ある輪からは、Dr、ストレンジやピーター(スパイダーマン)、ピーター(スターロード)をはじめとするGOGのメンバーなど惑星タイタンで消されてしまった仲間たちが、またカーマタージの面々やバルキリー率いるアスガルドの兵士たちなどが続々と現れる。おまけにペッパーまでアイアンマンスーツで現れて・・・人類の危機を救うため、ここにヒーローが勢揃いするのだった。力強い仲間たちを得たアベンジャーズ。キャプテンは「アベンジャーズ!!アッセンブル!」と大号令をかけ、ヒーロー達はサノス軍を迎え撃つ。

攻撃を潜り抜けながらガントレットを持ったクリントは、ガントレットを過去に戻す為に小型量子トンネルが備わったスコットのバンを目指す。が攻撃が激しくなかなか進むことが出来ない中、ガントレットはティ・チャラ(ブラックパンサー)へとバトンタッチされる。ティ・チャラは迫るサノス軍の兵士たちを蹴散らしながらバンを目指す。がサノスの側近のエボニー・マウの力で身動きが取れなくなる。が、ガントレットはピーター・パーカー(スパイダーマン)に引き継がれさらにバンに向かって進む。

サノスの兵士と格闘しているDr.ストレンジにトニーが「これが14,000,605分の1の勝利の可能性なのか」と尋ねると、ストレンジは「今明かしてしまえば実現もしない」と答える。ガントレットを運ぶピーターはペッパーやバルキリーの力も借りながらバンを目指す。執拗に追うサノスの前にワンダが立ちはだかっる。ワンダのテレキネシスがサノスを圧倒する。サノスは上空の母船に地上に向けてのビーム攻撃を指示する。天から大量に降り注ぐビームに敵も味方も大混乱。だが何が起きたのか、サノスの宇宙船が地上への攻撃をとめ、宙に向けて打ち始める。そしてその攻撃の先に、宇宙船に突進する光の玉が。それは彼方の宇宙から駆けつけたキャプテンマーベルことキャロル・ダンバースだった。キャロルは宇宙船を撃破、大破した宇宙船は誘爆しながら地上へと墜落する。

ガントレットはキャロルへとバトンタッチされ、それをペッパーやバルキリー、ガモーラ、ネビュラ、ホープ(ワスプ)などレディースアベンジャーズが援護する。敵を蹴散らし圧倒的なパワーで突き抜けるキャロル。目指すバンを目前にした時、バンはサノスによって破壊されて量子エネルギーの放出で大爆発を起こし、キャロルはたまらずに吹き飛ばされてしまう。そしてガントレットをサノスが手にしてしまう。ガントレットを装着するサノス、それをキャロルとトニーが阻止しようとする。その時、Dr.ストレンジがトニーに向かって、そっと人差し指を立てるサインを送る。そのサインが14,000,605分の1の勝機と悟ったトニーは、サノスからガントレットを抜きにかかるが、振り払われ失敗に終わる。

「私は絶対なのだ」そう言うとサノスはガントレットの指を弾く。が何も起こらなかった。ガントレットにはインフィニティ・ストーンはついていなかったのだ。混乱するサノスを尻目に、ストーンはアイアンマンの腕に移っていたのだった。トニーは「私はアイアンマンだ」とサノスに言い返すと、意を決して指を弾く。

サノスの軍勢が次々と消えていく。そして残されたサノスも静かにチリとなって消えていくのだった。

インフィニティ・ストーンの想像を絶するパワーに大きなダメージを受けたトニーの身体は絶命寸前だった。ローディ、ピーターそしてペッパーが傍に駆け寄る。そしてペッパーがフライデーに問いかけると帰ってきたのは「生命危機状態」という答えだった。ペッパーは気丈にふるまい、優しく微笑みながらトニーに「何も心配しなくていい、だからゆっくり休んで」と告げ、トニーの手に自身の手を添える。胸のアークリアクターの灯が消え、トニーは永遠の眠りにつくのだった。

トニーの自宅ではトニーの葬儀が行われようとしていた。部屋では生前のトニーが家族に宛てた(特に娘のモーガンへ)のビデオメッセージが映し出され、それをペッパー、モーガンやローディなど身内や親友が観ていた。「これからもさらに起きるであろう“光と闇の世界”でモーガンは生きていかなければならない。」と警鐘を鳴らすも、「何を怖がることがある?3000回愛してる。」と優しく言葉を掛けてトニーのメッセージは締め括られていた。庭に参列した仲間たちに見守られながら、湖に流される初代のアークリアクターには「トニー・スタークにも心はある」とメッセージが刻まれていた。

トニーの葬儀も終わり、ニュー・アスガルドに戻ったソーは、ヴァルキリーに王座を譲りガーディアンズ達と宇宙へ旅立つことを告げる。「あるべき自分ではなく、ありのままの自分でいるために。」それは過去のアスガルドで母フリッガがソーに送ったアドバイスだった。ヴァルキリーは王になることを承諾し、ソーの旅立ちを祝福する。ソーは「1000年で初めて、道筋のない旅だ」と言葉を残し、ガーディアンズの宇宙船へと乗り込むのだった。

6つのインフィニティ・ストーンとムジョルニアをもとの場所に返すため、スティーブは量子スーツにそでを通していた。地球上の時間でたった5分のタイムトラベル、しかし5分経ってもスティーブは戻ってこなかった。焦るブルースとサム。そんな時、湖畔のベンチで一人佇む白髪の老人をバッキーが見つける。近寄るサムが見たのは、年をとったスティーブだった。スティーブは「全てのストーンを戻した後に思ったんだ。自分の人生を生きてみるのもいいかと・・・。」とサムに言う。寂しさを隠せないサムにスティーブは、ケースから取り出した盾をサムに渡そうとする。躊躇するサムにバッキーが頷き、受け取ることを勧める。最後にサムはスティーブに「彼女(マーガレット・カーター)とはどううなったんだ?」と尋ねると、スティーブは静かに「それは胸にしまっておこう」と穏やかに微笑みながら答えるのだった。

小さなハウスの一室ではスティーブとマーガレットがダンスを踊っていた。

「あっ!」という間の3時間。高揚感・喪失感などなど心揺さぶるシーンの数々はまさに「アベンジャーズ」の集大成

「アイアンマン」から始まった、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバーサル)の21作品はそれぞれのストーリーを持ちながら、22作目である本作「アベンジャーズ/エンドゲーム」へと繋がっている。様々な作品から張り巡らされた様々な伏線が「エンドゲーム」で回収されていて、シリーズ通して観続けたファンには堪らない作品になっているんじゃないかな? ワクワク、ドキドキが止まらないシーンの連続で、3時間という上映時間の長さなどみじんも感じることなく、あっという間にエンディングをむかえてしまう。そんなシーンの数々をご紹介します。

悪夢再び

人々が灰の様に散って消える。前作「インフィニティ・ウォー」の衝撃のエンディングで起きた悪夢が、本編のオープニングで再び・・・。しかもその悪夢がホーク・アイことクリント・バートンの家族に起きる。何が起きたか呑み込めないクリントだが、この出来事を機に彼も動き始める。そして観客の我々に、嫌でも現在の状況を再度認識させてくれる。

二人の女神とトニーの帰還

「トニーはどのようにして地球への帰還を果たすのか?」公開前からファンの間では様々な予想が飛び交っていた。しかしその答えは、「キャロル(キャプテン・マーベル)が救出に来る」という、至ってシンプルなものだった。惑星タイタンでタイムストーンの攻防でサノスに敗北し、消滅から免れたトニーとネビュラは、ガーディアンズの宇宙船ベネター号で地球への帰還を試みるが、燃料の枯渇等が原因で宇宙空間を漂流する事態に。船の修理はもとより余暇も共に過ごす中で、ネビュラの心はさらに解けていく。22日間の漂流で衰弱して寝ているトニーをシートに座らせるネビュラ。そのトニーを見つめるネビュラの顔がとても美しいのだ。まるで女神の様に・・・。そして救出に来たキャロルも神々しく美しい。トニーは二人の女神によって無事帰還を果たすことが出来たのだ。

敗北感と喪失感が支配するサノスへのリベンジ

ネビュラの協力もあって、サノスの居場所を突き止めたアベンジャーズの面々は、衰弱したトニーを地球に残しベネター号でサノスの居る星へ向かう。サノスは捕えられガントレットをした左腕をソーが切断するのだが、ガントレットには既にインフィニティ・ストーンは無かった。それはサノスがストーンのパワーを使ってストーンを消滅させたからだった。スティーブ達が消滅したストーンに関してサノスに尋問する最中、いきなりソーがサノスを斬首。サノスは息絶えてしまう。サノスによって、弟のロキや虹の橋ビフロストの番人ヘイムダルを殺され、そしてアスガルドの民を宇宙船ごと消され、ワカンダでの戦いではサノスにトドメをさせなかった悔しさなど、私怨を抑えることが出来なかったソーだった。サノスは死んだにもかかわらずアベンジャーズの面々は、敗北感と喪失感に襲われる。

サノスの死は、「ここで?」という驚きを観客にももたらしたに違いない。この後のストーリー展開が全く読めなくなってしまったと思う。

あのネズミはミッキーマウス?

大騒ぎではないが、ネットでは「あのネズミはきっとミッキーマウス?」とささやかれていて・・・。

そのネズミとは「アントマン&ワスプ」で量子世界に閉じ込められていたスコットを現実世界に呼び戻したネズミのことだ。ディズニー映画なだけにあのネズミをミッキーに例えるなんんて・・・、かわいいくて洒落た発想だなぁなんて思っちゃいました。ぜひミッキーマウスであって欲しい!!

「和解」アベンジャーズ再始動

アベンジャーズ本部では、ブルースとスコットの共同開発で完成したタイムトラベル装置で試運転を開始するも、なかなかうまくいかないことに落ち込むスティーブ達。そこにタイムトラベルの為のGPSブレスレッドを開発したトニーが訪れ、タイムトラベル装置の開発に成功したことを告げる。トニーとスティーブは握手を交わし、インフィニティ・ストーンの回収を誓う。そしてトニーはスティーブに盾を返す(シヴィル・ウォーでスティーブから没収した盾)のだった。そしてこの握手が、アベンジャーズが消えた人々を戻す為に再始動する瞬間だった。

トニーとスティーブの和解の握手は、ファンが望んでいたことのひとつだ。胸が熱くなり、そしてジーンとくるシーンに間違いない。

東京でローニンがやくざ退治

家族を喪った悲しみから自暴自棄に陥ったクリントは、射手ではなく剣士“ローニン”となり、世界中の悪人を殺して回る殺し屋となっていた。場所は東京、クリントがヤクザのボスを追い詰め退治していた。そこにアベンジャーズ召集の為にナターシャが赴く。狂気を纏った古き盟友のクリントに、ナターシャは長い間コンタクトをとらなかったことを詫び、アベンジャーズ復帰を促すのだった。

クリントに追い詰められ切り殺されるヤクザのボスを演じるのは、日本を代表するハリウッド俳優“真田広之”だ。このシーンでは、クリントの何を言っているのか聞き取れない日本語が話題だけど、そんなのはどうだっていい。それよりも真田広之の扱いがあまりにも雑の様な気がしてならない。真田広之の殺陣は定評があり、こんなもんじゃない。(クリントなど足元にも及ばないでしょ!!逆に切られてるぜ!)逆に言えばクリントの稚拙な殺陣をひき立てる上手さ。さすがですね。

ニュー・アスガルドのソー

アベンジャーズ召集の為に、ブルースとロケットはソーの住むノルウェーのニューアスガルドへ向かう。デシメーション(サノスの指パッチンで起きた現象をそう呼ぶらしい・・・)を止められなかった己の無力さから、ノルウェーのニューアスガルドで暴飲暴食、そしてネットワークゲームに溺れる自堕落な生活を繰り返すメタボなソーがいた。トラウマを抱え込んだソーはサノスを拒絶する。

「バトルロイヤル」以降、コメディ路線が濃くなったソーだったが、とうとうメタボになっちゃった。そこには往年の石膏像のような体系は見られない。劇場でもこのシーンは結構どよめく声が聞こえてくる程なのだ。

過去へ、ミッション名は“タイム泥棒”

タイムトラベル用の白いスーツに身を纏い、アベンジャーズはサノスが手に入れる前にストーンを回収すべく、3つのグループに分かれて過去へと飛んだ。作戦名は「タイム泥棒」。

スコットのアントマン・スーツを参考に作られた白いスーツ。なかなかのカッコよさです。そして久しぶりに見たアベンジャーズの自信に満ちた表情。これからの展開にワクワクを隠せないシーンです。

興奮再び!「チタウリの闘い」

トニー、スティーブ、ブルース、スコットの四人は、3つのストーン(スぺース、マインド、タイム)を回収すべく2012年へと飛んだ。そこはロキが率いるチタウリ軍との最終決戦の舞台となったニューヨーク。

アベンジャーズの闘いの陰で・・・NYサンクタムでのエピソード

ブルースはタイムストーンが存在するサンクタムへ向かう。そこではエンシェント・ワンが飛来するチタウリの兵士からサンクタムを守っていた。

思わぬところでエンシェント・ワンの登場は、もう見れないと思っていたあの穏やかな微笑みが見れるとは・・・、「Dr.ストレンジ」ファンにはご褒美のシーンに違いない。

「ウィンターソルジャー」の名シーン再び?

エレベーター内でスティーブを取り囲むS.H.I.E.L.D.エージェントに扮するヒドラのメンバー。エレベーター内に張り詰めた空気が充満する緊張のシーン。

「始まるぞぉ、始まるぞぉ。」「キャプテン・アメリカ/ウィンターソルジャー」を観たファンなら誰もが思ったはずだ。しかし事情を知っているスティーブはここで機転を利かして、「ハイル、ヒドラ(ヒドラ万歳)」と言い彼らを出し抜く。「やられたぁ、そうきたかぁ」と思いつつ、「フッ」っと笑ってしまうシーン。

キャプテンvsキャプテン

ロキの杖を回収したキャプテンの前に、2012年のその時に活躍するキャプテンが現れ鉢合わせ。2012年のキャプテンは杖を持ったキャプテンを見てロキが変身した自分だと思い、杖を奪い返す為に襲いかかってくる。

“キャプテンvsキャプテン”という超ベストバウト。ファンにとっては堪らないご褒美だ。しかもキャプテンが2012年のキャプテンに対して、「バッキーは生きている」という事実をささやき、2012年のキャプテンの動揺を誘うという、事実を伏線として後付けまでする徹底ぶり。そして2012年のキャプテンを退けた後に、スティーブは「これこそアメリカのケツだ!」というのだけれど、これは女性ファンがスティーブ・ロジャースのお尻(後ろ姿)に関して言及してBUZZったことを逆手にとって、「エンドゲーム」でマーベルがネタとして扱ったと思われる(しかも2012年にタイムスリップしてミッションを開始する直前にトニーもスティーブのお尻をおちょくったりしているのだ)。

1970年へさらにタイムスリップ

回収に失敗したスペースストーンと、追加のタイムトラベルのために必要になったピム粒子を回収する為に、トニーとスティーブはさらにタイムトラベルをする。時と場所は、1970年のニュージャージーの軍事施設。そこには若き日のトニーの父ハワード・スタークとピム粒子の開発者でアントマンの生みの親ハンク・ピムが個々に研究の為に在籍していた。

「絶対にトニーとハワードの親子の対面があるな。」どんなストーリが展開するのかワクワクしながら観ていると・・・。

親子の対面そして解けていく確執

父ハワードのラボに潜入したトニーは、スペースストーンを回収するが、案の定ハワードと鉢合わせしてしまう。ハワードに名前を聞かれたトニーは、咄嗟に「ハワード・ポッツ」と名乗る。どことなく繋がりを感じていたのか、ラボから地上への道のりでハワードはトニーにフレンドリーに話しかける。

ハワードはこれから生まれてくる子供(トニー)に対して、育て方や接し方に関して不安を抱えていて、雑談の中で息子への接し方に関してトニーに悩みを打ち明けるのが何とも面白い。トニーとハワードの間にあった親子間の確執はハワードの自信のなさが原因だったのかも。スタークは不安気なハワードを励ますと共に、感謝の意を伝える。もしかするとトニーと会ったことによって、これ以降のハワードと生まれてくるトニーとの間には、違った関係性が生まれるかもしれませんね。

またハワードの運転手が、ドラマ「エージェント・カーター」で登場したエドウィン・ジャービスでした。トニーの相棒となったホストAIコンピューターJ.A.R.V.I.S.の名前のにもなった人物が映画でもついに登場を果たした。きっとジャービスはこの後、トニーの世話もするんでしょうね。

ペギー・カーターとの再会で、焼けぼっくりに火?

軍事施設内でピム粒子を奪ったスティーブは、警備の目を逃れる為にとある部屋に潜む。しかしそこは、70年以上前に生き別れたスティーブの元恋人でエージェント・カーターことペギー・カーターの部屋だった。そしてスティーブはガラス越しに愛するペギーの姿と再会するのだった。

1970年へのタイムトラベルではもう一つのドラマも用意されていた。このシーンはキャプテンファンにとっては「胸キュン」シーンだったに違いない。「シビル・ウォー」で老衰したペギーと死別して、スティーブの気持ちの整理もある程度着いたと憶測は出来るのだけど、このタイミングでのペギーとの再会は、エンディングにつながる伏線として、スティーブに過去に残ることを決心させるひとつのキッカケとなったのではないか。

2014年、ネビュラとネビュラ

2014年の惑星モラガでパワーストーンを回収したローディとネビュラ。早速2019年の現代に戻ろうとするその時、サイボーグ化したネビュラの身体に異変が起きる。それは2014年に存在するネビュラとの間に起きたシステムのハウリング(同期)だった。これによってストーンを持ったローディは現代へ戻ったが、ネビュラは戻ることは出来ずにサノスに捕らわれてしまう。

「エンドゲーム」において、“ネビュラは重要人物のうちの一人”と言われていた。きっと誰もがみんな「どんな活躍をするんだろう?」と思っただろう。しかし・・・重要人物ネビュラが握っていた鍵はタイムトラベルのしっぺ返し(リスク)だった。結局ネビュラを通してアベンジャーズのミッション“タイム泥棒作戦”は2014年のサノスに知られることとなり、2014年のネビュラがサノスの命令を受けて2019年に戻ることになり、その後サノスを2019年に呼ぶことになる。「なるほどぉ、こういうことだったのかぁ」映画を観ながらうなってしまうシーンだ。

惑星ヴォーミアの悲劇

ソウルストーンの入手条件は、愛する者の命だ。惑星ヴォーミアに降り立ったナターシャとクリントに究極の選択が突き付けられ、二人が出した答えは「自らの命を差し出す」ことだった。二人は先を争うように断崖絶壁へ、結局ナターシャが命を差し出し崖から落ちていくのだった。

サノスは最愛の娘ガモーラの命を差し出し、ソウルストーンを手に入れた。ここで一つ疑問が生じるかもしれない。それはナターシャの命はクリントが差し出したのではないということだ。しかも二人の間の愛って?確かにアベンジャーズの中では、一番古い付き合いのようだが・・・。この疑問はストーンの譲渡条件の矛盾のようにも感じるが、違う考え方もあるかもしれない。本編で「アベンジャーズは家族」とナターシャがスティーブに話すシーンがある。ナターシャにとってアベンジャーズは家族で、自分が自分でいられる唯一の居場所なのだ。「愛するアベンジャーズの為に自分の命を差し出す」という逆説的解釈なのかもしれない。まぁそんなごたくを並べるよりも、ナターシャが帰らぬ人になってしまったことは非常に悲しい。

過去のムジョルニア持って行っちゃったよ・・・「まっ、いっか」

2013年のアスガルド。リアリティストーンの回収に成功したソーとロケット。その過程において母フリッガは「あるべき自分ではなく、ありのままの自分でいいのよ」と、迷うソーにアドバイスを送る。迷いを振り切って自信を取り戻したソーは、右手を高く差し出しムジョルニアを引き寄せるのだった。

「エンドゲーム」の前半は本当に不甲斐なくトホホなソーなのだけど、そんなソーが自信を取り戻す重要なシーンが、2013年のアスガルドでのエピソードだ。自信を取り戻したソーは、ガサツでバカな部分も元に戻ったみたいで、引き寄せたムジョルニアをそのまま2019年に持って帰ってしまう。「おいおい、持ってっちゃっていいのかよ?この時代のソーは」どうすんだぁ」って思ってしまったのだけど・・・、この“無知な暴挙”がファンを震撼させる感動のシーンを生むのだから、「まっ、いっか」。

また、改めてソーとロケットの関係性が、とてもいいなぁ、いいコンビって感じがして微笑ましかった。

ファン大興奮!キャプテンの手にムジョルニア

サノスの猛攻に危機一髪をむかえるソー。その時サノスに向かってムジョルニアがヒットしてソーは難を逃れる。そして投げたムジョルニアを元の手に引き寄せたのは、なんとキャプテンだった。それを見てソーは、「出来ると思った」とつぶやくのだった。

もう大興奮!!ファンはその時をずっと待ってたのです。キャプテンは映画「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」でムジョルニアを持ち上げることができなかった。しかし、よく見ると若干だけどムジョルニアが動いてたのがわかる。マーベルの歴史においてキャプテンは何度もムジョルニアを使ったことがあるのだ。だからそのことを知るファンの間では「実はあの時周りのメンバーに配慮して(特にソーとトニー)わざと持てないふりをしていたのでは?」という噂が流れたくらいなのだ。とにかくこのシーンは応援上映でもないのに劇場がざわつく大興奮シーンだった。

「左から失礼!」

サノスの圧倒的な力の前に瀕死の状態に追い込まれるトニー(アイアンマン)、ソー、スティーブ(キャプテン・アメリカ)。サノスだけではなく彼の軍も迫ろうとする中、欠けた盾のベルトを締め直し、絶望の状態ながらキャップだけが立ち上がる。とその時キャップにデシメーションで消されてしまったサムから無線が届く。「左から失礼!」と・・・。

「左から失礼!」は、「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」でスティーブがサムと最初に交わした言葉だ。公園を周回するランニングで抜かされるたびに何度も何度も「左から失礼!」とサムがスティーブから掛けられた、言わば屈辱的なセリフなのだ。そのセリフを最後の最後に自分からスティーブにかけることが出来たということなのだ。そしてその言葉通り左からサムが降り立つ。続いてブラックパンサーをはじめ次々とヒーローたちが集結するのだった。

「アベンジャーズ!!アッセンブル!」

サムを筆頭にキャプテンの周りに次々と集結するヒーローたち。そしてサノスの軍団と対峙する。心強いヒーロー(仲間)達を得たキャプテンは、「アベンジャーズ!!アッセンブル!」と大号令をかける。そして宇宙の命運をかけて双方が激突する。

もうボルテージは最高潮。大興奮の瞬間です。興奮で目頭が熱くなったのは本当に久しぶり。まさかここまで出し惜しみないシーンをみせてくれるとは・・・。それはもう“ウルトラ兄弟勢揃い”とか“サイボーグ009(最初のTVアニメ)でのサイボーグ勢揃い”のような興奮を覚えた。

やっぱ最強?キャロル登場!

愛するヴィジョンを殺され自らもデシメーションで消されたスカーレット・ウィッチことワンダがサノスと対峙する。彼女の特殊能力に圧倒されるサノスは、上空の母船に地上への無差別攻撃を命令する。地上に雨の様に降り注ぐビームやミサイル。敵も味方も入り乱れての絶体絶命の大混乱状態。その時、地上への攻撃が止み、地上に向けられていた母船の砲身が空へ向きを変え攻撃を再開する。その攻撃の先から、高エネルギー体が母船に接近し、船体を貫きサノスの母船は大破、爆発を繰り返し地上へ墜落してしまう。母船を貫いた高エネルギー体こそ、宇宙から駆け付けたキャプテン・マーベルことキャロルだった。

とにかく格好良すぎるキャロルの登場シーン。そして彼女の強さがこのワンシーンで明確に表現されている。やっぱ最強!

レディース・アベンジャーズ集合

ガントレットを狙うサノス。それを渡すまいとするアベンジャーズの面々。ガントレットはクリントからブラックパンサーへ、そしてスパイダーマンことピーターへ引き継がれ、スコット(アントマン)の所有するバンに車載された小型の量子トンネルを目指す。しかしピーターは行く手を阻まれ立ち往生してしまう。そのピンチを救ったのはキャロルだった。キャロルとピーターは協力してガントレットを運ぶ。そしてそれをサポートする為に、ネビュラ、ガモーラ、ワンダ、オコエ、シュリ、ヴァルキリー、ワスプことホープ、そしてレスキューことペッパー。レディース・アベンジャーズ(Women of Marvel)だ。

これまた劇場が盛り上がるシーンだ。世界的な流れになっている女性活躍をシーンのテーマにもってきたのかな?(監督のルッソ兄弟も同じようなニュアンスのコメントしているし・・・ね)最年少のアベンジャーズメンバーのピーター(スパイダーマン)を女性ヒーローたちがサポートする構図が何とも力強くて心強い。レディース・アベンジャーズがワンカットに収まった様は何とも圧巻で、これからのマーベル映画の一つの道を示している様に思える。

14,000,605分の1の勝機

攻防の末、遂にガントレット手にし、装着するサノス。それをキャロルとトニーが全力で阻止しようとする。その時、Dr.ストレンジがトニーに向かって、そっと人差し指を立てるサインを送る。そのサインが14,000,605分の1の勝機と悟ったトニーは、サノスからガントレットを抜きにかかるが、振り払われ失敗に終わる。

このエピソードより少し前、トニーはDr.ストレンジに「これが14,000,605分の1の勝利の可能性なのか」と尋ね、それに対してDr.ストレンジが「今明かしてしまえば実現もしない」と答えるシーンがある。この“14,000,605分の1の勝利の可能性”は前作「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」の中でDr.ストレンジがタイムストーンで探り当てたサノスに勝つ唯一の勝機だ。そしてストレンジが立てた指を見て「今がその時」と察したトニーに決意の表情がみなぎる。これから起こることへの期待と緊張感が走るシーンなのだ。

I’m IRON MAN

ガントレットを奪おうとするトニーを跳ね除け、勝ち誇ったかのように「私は絶対なのだ」そう言うサノス。そしてガントレットをはめた手で指を弾く。が何も起こらず空打ちに終わる。ガントレットの甲を見直すサノスは唖然とする。そこにインフィニティ・ストーンはついていなかったのだ。そしてストーンはアイアンマンの腕に移っていたのだった。トニーは「私はアイアンマンだ(I’m IRON MAN)」とサノスに言い返すと、意を決して指を弾く。閃光の直後からデシメーションが始まりサノスを始め兵士の大群は消滅するのだった。

本作品「アベンジャーズ/エンドゲーム」までのMCU作品(全22本)は、“インフィニティ・サーガ”とよばれ、「アイアンマン」がそのストーリーの始まりだ。トニー・スタークが言い放った「私はアイアンマンだ(I’m IRON MAN)」は、「アイアンマン」の劇中の最後にメディアを前にして打ち明けた言葉なのだ(正確にはアイアンマンでは「IRON MAN,I am」と言っているのだが・・・)。またトニーはアベンジャーズの中でも群を抜く軽口だ。サノスが勝ち誇って言い放った「私は絶対なのだ」に対して、ストーンを奪ったトニーは「私はアイアンマンだ」と答える。これはアメリカン・ジョーク的なやりとりで、実にトニーらしい言い返しだ。スタークの告白(アイアンマン宣言)から始まった壮大なストーリーを、同じくスタークの言葉で締めくくったのは、“インフィニティ・サーガ”の集結を告げる為に重要な演出であると同時に、ファンに対する最高のサービス演出でもあるのだ。

“トニー・スタークにも心はある”

トニーの葬儀は自宅で厳かに行われた。アベンジャーズの仲間たちに見守られる中、ペッパーが湖面に初代アークリアクターを流す。そこには「トニー・スタークにも心はある」とメッセージが刻まれていた。

精霊流しのように湖面に流した「トニー・スタークにも心はある」と書かれたアークリアクターは、映画「アイアンマン」でトニーが最初に製作し、ペッパーがおっかなびっくり取り外し、その後「トニー・スタークにも心はある」とメッセージを彫りトニーにプレゼントしたものだ。

帰ってこないキャプテンと現れたスティーブ爺

6つのインフィニティ・ストーンとムジョルニアをもとの場所に返すため、スティーブ再び過去に跳んだ。5分後、戻ってくるはずのスティーブは戻ってこなかった。メンバーが焦るその時、湖畔のベンチに一人佇む白髪の老人が、それは齢を重ねたスティーブだった。スティーブは過去に残りマーガレットと再会し、ダンスの約束を果たすのだった。

スティーブには果たせぬままに現代まで持ち越してしまったマーガレットとのダンスの約束がある。「何とかスティーブとマーガレットの約束を果たして欲しい」と思っているファンは多く、しっかりとそこのツボを押さえてきた。すべてを犠牲にして世界の為に戦ってきたスティーブへのご褒美だ。また齢を重ねたスティーブはトレードマークであるビブラニユウムの盾をサムに託す。アベンジャーズの意志が受け継がれるこのシーンは、ファンを静かに驚喜させたはずだ。

区切りと追悼の六点鍾

MCU作品はエンドロール後(もしくはエンドロールの途中)に、シリーズをつなぐポスト・クレジット・ムービーが差し込まれる。本作品の「アベンジャーズ/エンドゲーム」ではどの様なシーンが差し込まれたのかというと、今回はムービーではなく音声だった。そしてその音声は鉄をハンマーで叩く音で、これはMCU第一作目「アイアンマン」で、テロリストの捕虜となったトニー・スタークが、彼らのアジトで隠れてアイアンマンのプロトタイプを作るシーンで発せられた音なのだ。

音声によるポストクレジットムービーで思い出すのが、「スターウォーズ エピソード1/ファントム・メナス」のエンドロール後に微かに流れるダースベイダーの呼吸音で、エピソード2以降のアナキン・スカイウォーカーの運命を暗示させる効果的な演出だった。

閑話休題。「カーン!カーン!カーン!・・・」と6回の打撃音。ひょっとして船の“点鍾”の様に何か意味を持たせているのかな?と思って、船の点鍾に関して調べてみたのだけど、特にこれと思える意味には辿り着かなかった。「アイアンマン」で始まったMCUの「インフィニティ・サーガ」が「エンドゲーム」で完結した区切りと、スタークへの追悼の意を込めての音声によるポスト・クレジット・ムービーだったのだろう。とにかくファンには不意打ち的なサプライズで、多分エンドロール後に目頭が熱くなる演出が用意されている映画って今までになかったのでは・・・。

ヒーローの正義とプライドに感動。そしてこのあとのMCUの展開はどうなるのだろう?

インフィニティストーンをめぐる物語は、アイアンマンの犠牲によって幕を閉じた。思い返せばこの壮大な物語の始まりは、アイアンマンの誕生だったんだ。