シリーズ5作目の『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』から3年。待望の新作『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』が公開された。今回の『フォールアウト』は前作『ローグ・ネイション』からの色濃い続編となっているとのこと。公開日の翌日に早速観に行ってきました。

トム・クルーズおじさん。今回も身体にムチ打って頑張ってます。

“イーサン・ハントvsソロモン・リース”宿命の新たな戦い(あらすじ/ネタバレ)

ジュリアと愛を誓うイーサン。そこに国際犯罪組織「シンジケート」のボス、ソロモン・レーンが現れ・・・。そんな悪夢にうなされ続ける、IMFエージェントのイーサン・ハント

お約束の合言葉の交換後、封筒を受け取り、今回の指令を聴くイーサン。内容は、何者かによって盗まれたプルトニウム3基の回収だ。

IMFの仲間、ベンジールーサーとベルリンに。イーサンは売人と取引をし、金を払ってプルトニウムを受け取るが、シンジケートの残党「アポストル(神の使徒)」が乱入。ルーサーが人質に取られてしまう事態が発生。イーサンはルーサーを見捨てることが出来ず、結果アポストルにまんまとプルトニウムを横取りされてしまうのだった。

テレビでバチカン、エルサレム、メッカが核攻撃を受けた様子が放映される中、イーサンは入院中の過激主義者のデルブルック博士を訪ね、声明文をテレビで流す代わりに、彼のスマホ内の核爆弾の詳細データを取得する為に、パスコードを解除するよう取引する。パスコードを受け、スマホのロック解除した途端、病室がガラスケースで作られた取調室に変貌。ついさっきまで不敵な笑みを浮かべていた博士は奇声を上げ青ざめる。テレビニュースも経過した時間もすべてフェイク。それはイーサンたちが仕組んだ罠だった。

爆弾の設計図等のデータを入手したイーサンだが、プルトニウムは依然敵の手に渡ったまま。アポストルのテロ、同時核爆発を阻止する指令を受けるが、その猶予は72時間。余裕はない。手がかりは“ジョン・ラーク”という男と“ホワイト・ウィドウ”と呼ばれる謎の女性の存在のみ。イーサンは“ジョン・ラーク”に成りすまし、ホワイト・ウィドウへの接触を試みるという計画を練る。パリへ向かう途中の空軍基地で、IMFとイーサンの動向に不信感を抱くCIAのスローン長官が、ウォーカーという敏腕エージェントを監視役として同行させる。

上空からヘイロージャンプ(高高度降下低高度開傘)でパリに入ったイーサンとウォーカーは、ホワイト・ウィドウが主催する慈善パーティーに潜入、そしてトイレでジョン・ラークを発見、ラークは拳法を使って反撃。あまりの強さにイーサンたちは苦戦、そこにMI6の諜報員イルサが乱入し、ラークを射殺してしまう。イルサとの再会に戸惑うイーサン。ラークへの変装は不可能になったが、誰もラークの顔を知らないことを逆手にとり、そのままラークに成りすまし、ホワイト・ウィドウへの接触を試みる。ラークを狙う刺客との銃撃戦が起こり混乱する会場から、イーサンはホワイト・ウィドウを無事会場から連れ出し、信頼を得ることに成功する。彼女はアポストルとの仲介役で、今回のアポストルの要求は、パリに護送されてくるシンジケートのボス、ソロモン・レーンの奪還の手助けだった。その手助けの片棒を担ぐ代わりに、イーサンはホワイト・ウィドウからプルトニウムを一基入手する。

そんな中、CIAエージェントのウォーカーは、スローン長官に「イーサンこそがジョン・ラークではないか」と密告する。

ソロモン・レーンの奪還は計画通りに進んでいたが、イーサンはレーンの護送車に、自身のトラックを体当たりさせ、セーヌ河に突き落としてしまう。周囲が混乱する中、イーサン達は猛スピードでパリ市内を逃走。一方、水中に潜ってしまった護送車からは、ベンジーとルーサーがレーンを引き上げ、密かにボートで水路を進む。イーサン対パリ警察のカーチェイスはイーサンの周到な計画により、イーサン側に軍配があがる。そして無事ベンジー、ルーサーと合流する。

レーンを車に乗せ換えて護送する中、イーサンたちのクルマに銃が発砲される。それはイルサでした。彼女はその後も追走するバイクから何度も発砲しレーンを射殺しようとする。それはMI6からの抹殺指令ゆえの行動だった。レーンはイギリスの元諜報員だ、その為に各国の取り調べで、彼からイギリスの秘密事項が漏れてしまうことをイギリスは恐れている。彼は抹殺すべきターゲットとなっていたのだ。追走するイルサがイーサンのクルマの前に立ちはだかった。一旦は躊躇するイーサンだったが、車を急発進、イーサンはイルサをはねとばし逃走するのだった。イルサの影に気付いたホワイト・ウィドウは、「邪魔するものは許せない、イーサン自らイルサを引き渡すせ」と報酬条件の値上げを要求する。

その後、イーサンはイルサと遭遇。車ではねたことを謝罪するが、「仕方なかった」とイルサは理解を示す。イーサンは組織を抜けることを再度忠告するが、イルサは自由の為だと反論する。一度は自由を手にしたイルサだったが、レーンと同様に祖国の裏切り者として扱われた。それを晴らす為に諜報員を続けざるを得なかったのだ。

レーンの身柄引き渡しはロンドンへ。CIAはイーサンこそがジョン・ラークであり、アポストルと組んだテロリストであると疑っている。イーサンは合流したIMFのハンリー長官から思いがけない話を聞かされ、愕然とする。任務の中止を言い渡し、帰国を命じるハンリー長官を麻酔弾で眠らせたイーサンは、レーンの引き渡しの準備をすすめる。イーサンはベンジーをレーンに仕立て、替え玉としてアポストルに引き渡すという計画を企てていた。および腰のベンジーを連れ、イーサンは部屋を出る。残ったウォーカーは囚われのレーンに近寄り、彼に一緒に来るよう声をかける。実はウォーカーこそが、ジョン・ラークだったのだ。レーンはウォーカーに「私はここに残り、借りを返す」とイーサンへの復讐に固執し、ウォーカーを苛立たせる。そしてウォーカーがレーンと思っていたの男は、イーサンが連行したはずのマスクをかぶったベンジーだった。すべてイーサンの仕掛けた罠だったのだ。が、そこにCIAの部隊が突入してきた。しかしその中にウォーカーが潜ませていたアポストルのメンバーがCIAに発砲。そして密かに潜入していたイルサまでも発砲に加わり、現場は大混乱に。そんな中ウォーカーは、混乱に乗じハンリー長官を殺害、レーンを連れて逃亡を図る。

殺害されたハンリー長官を悼みつつも、イーサンはウォーカーの追跡を開始する。発振器によってウォーカーを追うイーサンだが、ベンジーのどたばたな指示で、イーサンはとんでもないコースをたどり追走するはめになるが、ようやくウォーカーとの距離を詰める。が、あと一歩のところウォーカーは、イーサンの目の前でヘリで逃走するのだった。そしてレーンも敵の手に渡ってしまう。しかしこれはイーサンがプルトニウムの所在を突き止める為に仕掛けたことでした。当然レーンにも発信機が付けられていたのだ。

発信機の情報をもとに、イーサンはインド・パキスタンの国境、カシミール地方に向かっていることを予測する。ここは以前、アポストルが天然痘をばらまいた場所だった。レーンはここで残り2基のプルトニウムを起爆する計画を立てていた。世界の3分の1の人口を占めるこの地域の河川を放射能で汚染されれば、未曽有の大災害が起きる。2つの爆弾は連動しており、一つを処理するともう一つが起動するような構造になっていて、時限装置を個々に止めるのではなく、同時の処理とリモコン装置の排除が必須だ。非情に厄介だ。

そんな中、この一連の事件が自分を救ったことが発端だったことを気に病むルーサーは、イルサにイーサンの愛した女性について話し始める。「俺が知る限り愛した女性は二人しかいない」と。一人はイーサンの任務が危険ゆえに、お互いに身を引く選択をした、元妻のジュリア。そしてルーサーは、イーサンがジュリアと同じくらいイルサを思っていることを告げる。だからこの戦いから身を引くべきだと。それを知ったイルサはイーサンと共に戦うことを選択します。そして一行はカシミールへ飛ぶ。現地には天然痘の治療をするための大規模な医療キャンプが設営されていた。そこでイーサンは医療に従事するジュリア(イーサンの元妻)と再会する。

何故ここにジュリアがいるのか?イーサンは困惑する。ジュリアは同じキャンプの医者と再婚していました。ジュリアの夫の言うことには、守護天使となのる者の多額の寄付がこのキャンプの資金になっていて、ジュリアのキャンプ参加が寄付の条件だったらしい。それを聞いたイーサンは、ウォーカーがヘリで飛び立つ直前に「私が彼女の守護天使」と言っていたのを思い出す。これはアポストルの策略で、またもジュリアを危険にさらしてしまったことに気付く。イーサンは仲間の元に戻り、爆弾とレーンの居場所の捜索にあたる。一基目の爆弾が見つかり、ルーサーがその処理を引き受ける。爆弾の起動を済ませたウォーカーは、この場を離れる為にヘリに乗り込み逃走を図る。それを発見したイーサンは、爆弾の捜索をイルサとベンジーに任せ、ウォーカーの持つリモコン装置を確保するために、後続のヘリに何とか取り付くことに成功する。

ヘリクルーを投げ捨て何とか操縦桿を握ったイーサンだったが、ヘリの操縦は経験がなく操縦が覚束ない。後続のヘリの異変に気付いたウォーカーは、それがイーサンの操縦だということに気付く。そして二台のヘリチェイスが始まった。

もう一つの爆弾を探すイルサとベンジーは、大量の医療機器に紛れて、放射線反応が思うように確認できず苦戦していた。そんな中、イルサがレーンの姿を見つけ彼を追跡する。そしてイルサはレーンが管理していた、もう一基の爆弾を見つける。早速イルサはベンジーに爆弾のありかを伝えるが、感付かれてしまい、イルサはレーンに拘束されてしまう。駆けつけたベンジーだったが、あっさり倒され、首にロープをかけられ吊されてしまう。何とか拘束されたロープを自力で切ったイルサは、レーンと死闘の末、何とかレーンを倒す。そしてイルサが間一髪でベンジーの首のロープを切り、ベンジーは九死に一生を得るのだった。

先に爆弾処理にあたっていたルーサーだったが手が足りず悪戦苦闘。そこにジュリアが現れる。ジュリアはイーサンの窮地を知り駆けつけたのだった。そしてルーサーの指導のもと、彼女は爆弾処理に手を貸し始める。

ヘリバトルを続けるイーサンとウォーカー。イーサンは操縦不能になった自分のヘリをウォーカーのヘリにぶつけ、両者とも雪山の断崖に墜落する。運よく断崖の端に引っかかって止まったヘリから辛うじて脱出した二人は、熾烈な闘いを繰り広げます。その時、かろうじて止まっていたヘリコプターが動き、二人は断崖に宙吊りに。起爆装置は崖っぷちに転がり、そこから一刻も早くキーを抜かなければならない。だが、上によじ登ろうとするイーサンを下からウォーカーが阻止するのだった。一瞬の機転を利かせたイーサンは、ヘリのフックを引っ張り、ウォーカーに激突させます。ウォーカーは崖下へ、そしてイーサンは絶壁に手を掛け登り始めるが、時間はあと僅か。ルーサーはベンジーたちに最後の線を切る時間を告げる。その様を見てレーンは「無駄だ」と、薄ら笑いを浮かべる。そしてあと一秒、皆、決死の覚悟で最後の導線を切る。

爆発は起こりませんでした。イーサンは間一髪、キーを抜くことに成功していたのです。

そのまま崖っぷちに倒れていたイーサンをCIAのヘリが発見し保護。その後レーンの身柄は、ホワイト・ウィドウを介してMI6引き渡され(ホワイト・ウィドウもCIAの協力者だった)、イルサも呪縛から解放されることに。

イーサンが意識を取り戻すと、そこにはジュリアがいました。イーサンは再び、彼女の人生を危機にさらしたことを謝罪するが、彼女は微笑み言うのでした。

「あなたのおかげで、今は充実した生活を送れている」と。

CIA長官のスローンも、イーサンの労をねぎらい、IMFの価値を認めるのだった。イルサをはじめ、ルーサー、ベンジーもイーサンの元へ、そして労をねぎらいます。「ギリギリだったのか?」仲間の問いにイーサンは「ああ、ギリギリだった」と。

「ギリギリなの?」と問い返すイルサに「いつものことだ」と微笑むイーサンだった。

脅威・騙し・アクション・二重スパイ・カーチェイスなどなどスパイ映画ならではのみどころ満載

約2時間半(正確には147分)の上映時間中、ほぼノンストップでエピソードが連鎖的に繰り広げられる。ストーリー構成凄すぎです。シリーズ最高傑作というファンが多かった、前回の『ローグ・ネイション』。その『ローグ・ネイション』を受けての続編なだけに、今回の『フォールアウト』への期待感は、ファンならずとも高い。僕的にも前作と遜色ない今作品。注目の“みどころ”を紹介していきたいと思います。

いきなりジュリア登場

3作目『M:iⅢ』では、イーサンと深い縁(妻)がある為に、頭に小型爆弾を埋められ命を狙われ、4作目『ゴースト・プロトコル』で、互いに互いを思いやり、イーサンと世間から身を隠して暮らしていたはずの、今は元妻のジュリアがいきなりイーサンと愛を誓う。そして神父が前回『ローグ・ネイション』でイーサンが捕えたシンジケートのボス“ソロモンレーン”という、何とも今回の物語を暗示するかのようなオープニングシーン。

前作では一切の登場がなかったジュリアだったので、このままフェードアウトするのかと思いきや、うやむやでは終わらないようです。オープニングシーンのみならず、本編でもイーサンとの今後の関係性をはっきりさせる上で、重要なキャストとして登場。またまた危機に巻き込まれてしまいますが、覚悟の座ったジュリアはルーサー達と協力してその危機に立ち向かう、強い女性になっています。そしてここで、ジュリアは「お疲れ様~」という感じでお役目御免なのかも?

騙しのテクニック満載

騙しのシーンはスパイ映画の醍醐味と言える。今回の『フォールアウト』でも、その騙しのテクニックが満載だ。

過激主義者のデルブルック博士を騙す

プルトニュウムをアポストルに横取りされたイーサンたちは、強奪されたプルトニュウムを調べる為、アポストルと精通している過激主義者のデルブルック博士のスマホから通信記録や核爆弾装置のデータを取得する為に、パスコードを聞き出すのに仕掛けた罠が凄い。

運転するデルブルック博士のクルマに、ベンジーが故意に追突。気を失った博士は病室に。病室では核爆発が3都市で起きた報道。気が付いた博士のところに、イーサンとルーサーが三文芝居。負けを認めたイーサンは、博士の要望通り声明文をメディアに流すように要請する。得意げな博士は、自分のスマホのパスコードを提供、ルーサーがスマホからのデータを取得した時点で、病室の壁が倒れ、ガラス張りの取調室に早変わり、テレビに映っていたニュースキャスターはベンジーの変装で、当然ニュースはすべてフェイク。時間の経過は博士には2週間の経過と告げていたが、実際は1時間しか経過していない。博士はまんまと騙される。

まず本編を観た誰もが「おーっ」と思い、最初に気持ちが「すーっと」晴れる感じをおぼるシーンだ。

CIAエージェント・ウォーカーを騙す

ウォーカーはイーサンがジョン・ラークではないかとCIAのスローン長官に密告する。そして内定がすすみ、IMFのハンリー長官にもその情報が入る。ソロモン・レーンを連行してアジトに入ったイーサンたちに、ハンリー長官はこの事実を告げ、イーサンは驚愕する。実はこの時点でイーサンの罠は始まっているのだが・・・。

ハンリー長官はミッションの中止を命じるが、イーサンはレーン引き渡し計画を強行しようと、ハンリー長官を麻酔で眠らせ、ベンジーをレーンに仕立て取引場所に向かうイーサン達。アジトに拘束されて残されたレーンの監視役にウォーカーが残る。そしてウォーカーは、拘束されたレーンに接触し「一緒に行こう」と促すが、実は残されたレーンがベンジーが扮したレーンだった。このイーサンの仕掛けた罠によって、ウォーカーこそがジョン・ラークだと判明する。

そしてこの件に関してはCIAも1枚かんでいた。2重スパイの存在の内定を進めていたのだった。結局CIAのスローン長官は、IMFをも壊滅させようと勇み足をしてしまうが・・・。

とにかく騙しのシーンは、胸がスカッと、そして笑みがこぼれる大好きなシーン。アレやコレやと手を変え品を変えと、『ミッション:インポッシブル』では色々なシナリオを用意してくるので目が離せない。

今回も凄いアクションシーン

『ミッション:インポッシブル』の華と言えばやっぱり迫力のアクションシーンだけど、今回も奇想天外で迫力あるアクションシーンが満載です。

ヘイロージャンプによるパリ市内へのスカイダイビング

ドイツからフランスのパリへ、ホワイト・ウィドウの慈善パーティへの隠密潜入を目的に、高高度を飛行するCIAの輸送機からイーサンとウォーカーが、慈善パーティの会場めがけてピンポイントで“ヘイロージャンプ(高高度降下低高度開傘)”を敢行する。だが、ただ単に降下するだけでは面白くない。ここでウォーカーの間抜けぶりが炸裂する。

雷雲を避ける為、イーサンは降下するポイントをずらそうとしたところ、ウォーカーが勝手に降下してしまう。慌ててイーサンも強行ダイビング。が案の定、雷に撃たれてしまう。酸素ボンベが吹っ飛び気を失うウォーカー。限界高度が迫る中、イーサンは何とかウォーカーに取り付き自分の酸素ボンベをウォーカーに取り付けパラシュートを開かせる。イーサンも限界高度は超えてしまったものの、ギリギリで格好は良くないが無事降下に成功する。そこに余裕で降下してきたウォーカーが、「酸素ボンベ落としたのか?」とイーサンに言う。大ボケなウォーカーに笑ってしまった。

パリを舞台にしたカーチェイス

パリ市警vsイーサン、そこにイルサも加わって、オペラ座通りや凱旋門など、パリ市内を縦横無尽に駆け抜ける三つ巴のカーチェイス。圧巻のシーンは何といっても凱旋門を取り巻くランナバウトでの逆走カーチェイスだ。逆走、そう、今流行り?の逆走だ。正面から迫る車の間隙を縫って、イーサンの操るバイクがすり抜ける。観ているこっちが“ちんさむ”だ。

ロンドンでのドタバタ追走劇

CIAエージェントのウォーカーこそが、ジョン・ラークだった。逃げるウォーカーの位置を、発信機とGPSで補足してベンジーが指示、イーサンを誘導するのだが、そのベンジーの指示がグダグダなのだ。スクリーンロック未解除のままGPSの地図を逆さまに見て指示を出すわ、立体の3Dにせず、平面の2D地図で指示を出すもんだから、イーサンは建物を突っ切るような状態になるわ、結局イーサンはビルの屋上や屋根づたいにウォーカーを追う始末。オフィスの窓ガラスを椅子で割り、外へ飛び出したり、ビルからビルへ飛び移ったり。この追走は、結構重要なシーンなのだけど、ドタバタのコメディ要素を取り入れるサービス精神が二重丸です。

カシミール上空のヘリチェイス

本編のクライマックスが、このヘリによる追跡(チェイス)シーンだ。CIAでは敏腕のエージェントだったらしいが、どことなく天然で抜けたところがあるウォーカーが、核爆弾の起爆リモコン装置をもってヘリで医療キャンプから逃走。その起爆リモコン装置を奪還しないと、カウントダウンを始めた2基の核爆弾は止められない。逃すまいとイーサンが後続のヘリにしがみついて追撃開始。後続のヘリを乗っ取ったイーサンに対し、ウォーカーはガトリング銃を乱射。操縦初心者のイーサンはパニックになりながらも、何とか右に左に機体をスライドさせながら弾丸を避けウォーカーを追走する。

画面が大きく揺れ、油断すると酔ってしまいそうなシーンが連続する。それとPVで描かれるコントロールを失ったイーサンのヘリとトレーラーがぶつかりそうになるシーンは、カットされたのか、本編では出てきません。これはちょっとがっかりした。

トム・クルーズと言えば、アクションシーンにおいてスタントを使わないことで有名だ。今回もトムは身体をはった体当たりアクションを随所で見せてくれています。バイクで車に衝突してボンネット越しに吹っ飛ぶシーンは、「うわぁ~、痛ぇ~」って感じで、「あれで大怪我しないのはさすがだなぁ」と思ったのだけど、しかしビルの屋上から屋上に飛び移るシーンでは、撮影中に骨折したそうですよ。しかもそのシーンは、そのまま劇中に使われているとか。トムおじさんにはまだまだ沢山の作品に出演して欲しいので、「あまり無理しないでください」って感じです。

まとめ

今回のサブタイトルとなっている『フォールアウト(Fallout)』の意味するところとして、この物語に照らし合わせて考えてみると・・・。

≪Fallout≫

  1. Fallout:放射性降下物、原子灰、死の灰、副産物(求められていない副次的効果)、予期せぬ影響
  2. Fall out:落ちる、仲たがいをする、去る、解散させる

という様な意味が該当するかな?

今回のミッションは、3基の小型プルトニュウム核爆弾をめぐるものだし、ジュリアやイルサとの絡みは、二人を愛するイーサンにとっては、決して求めてはいない副産物だし、CIAによってIMF解体の危機だったりして、サブタイトルである“Fallout”は、二重にも三重にも本編を表現するタイトルとなっている。

イーサンとジュリアの関係、MI6との関係も解かれ安息を迎えたイルサなど、一応の落ち着きを取り戻した感があり、このシリーズ(『ミッション:インポッシブル/フォールアウト」)をもって終了となっても文句のない感じなのだが、ファンとしては「まだまだ続いて欲しい」という声も聞こえてくる。

僕としても、もう少しイーサン(トムおじさん)には頑張ってもらって、またファンをワクワクさせるような『ミッション:インポッシブル」シリーズをリリースして欲しい。

あ、ホワイト・ウィドウからのキスもイーサンにとって予期せぬ副産物だったのかも知れない。となると今後のかかわり方も気になるところ。『ミッション:インポッシブル』はまだまだ続きそうかな?

 

<鑑賞データ>

『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(2018,8,4 Movixつくば)