Buecherwurm
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イスラエル軍は、パレスチナ自治区ガザからイスラエルに向け7日夜、ミサイル3発が発射されたことを明らかにした。共同通信が伝えた。(中略)ミサイル発射を受けて、イスラエル軍は、パレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスの陣地を航空機と戦車を使って報復攻撃した。

引用:スプートニク日本「イスラエル軍 ミサイル発射の報復にガザの警備所を攻撃」

抗議デモにとどまらず、とうとう始まってしまったという感じですね。この状況の発端は、何といってもトランプの決断が原因なのですが・・・。

【カイロ篠田航一】エルサレムをイスラエルの首都と認めるトランプ米大統領の決断により、中東では一般住民の抗議行動が激化し、地域の不安定化が進む事態も懸念されている。アラブ民衆の間で反米感情が極度に高まれば、イスラム過激派が勢いづく可能性もある。

引用:毎日新聞 米「エルサレム首都」過激派、勢いづく恐れ

中東の火種「エルサレム」とは?

エルサレムは、イスラエル東部・パレスチナ自治政府にある都市。イスラエルはエルサレムが「首都」であると宣言しているが、国連及び国際社会はこれを認めていない。

エルサレムは、ユダヤ人が住む西エルサレムとアラブ人居住区である東エルサレムから成り立ち、東部についてはパレスチナ自治政府も領有を主張、パレスチナ独立後の首都としている。かつてエルサレム神殿が存在し、またイエス・キリストが処刑された地でもある。エルサレムは、ユダヤ教(嘆きの壁)・キリスト教(聖墳墓教会)・イスラム教(岩のドームやアル・アクサ・モスク)共通の聖地となっている。エルサレム帰属問題は、同じ一神教のユダヤ教、キリスト教、イスラム教の融和を阻む心に刺さったトゲのような存在である。

アメリカは、以前からエルサレムをイスラエルの首都と認めていて、1995年に議会で大使館のエルサレム移転を認める法律を可決させているが、歴代のアメリカ大統領(クリントン、ブッシュ、オバマ)は、中東和平実現の障害になるとして、大統領令で半年ごとに実施を延期してきた経緯がある。そんな状況の中、今回のトランプ大統領の大使館移転表明(大統領選の公約とは言え・・・)は、中東だけではなく全世界においても、非常にショッキングな決断だ。

トランプの決断は非常にシンプル?

トランプの娘、イバンカとその夫クシュナーは敬虔なユダヤ教信者で、エルサレムへのアメリカ大使館移転は、その二人の影響などとささやかれていたりもしますが、もっとシンプルでしょう。歴代大統領がその執行の延期を繰り返し、それに対して議会が、定期的に執行を念押しするという、格好だけの馴れ合いが続いていた。それだけにトランプ大統領は、実行力をアメリカ国民にアピールしたに過ぎないのでは。

どうなる中東情勢

中東では現在も、米軍などによるIS(イスラム国)掃討作戦がすすめられている。イラク軍の情報として「指導者のバグダディ容疑者は、現在もイラクとシリア国境地帯に潜伏している」と伝えていて、IS残党はエジプト・シナイ半島などに逃げ、体制を立て直しているという指摘もある。今後、反米感情を利用して、住民の不満を吸収し、組織を拡大させる過激派の動きも予想されると、各国の治安当局は警戒を強めている。

また、イランという共通の敵から、すり寄っていたサウジアラビアとイスラエルだったが、今回のエルサレム首都問題で、高まる中東の反米・反イスラエル感情が障害となると予想される。このままでは、再び中東戦争が勃発してもおかしくないぐらい、緊張は高まっていることは間違いないのでは?

それを懸念するからこそ、世界各国はアメリカを強く非難する声明を出している。そしてあの国のえりんぎヘッドの指導者が、この状況を蚊帳の外からほくそ笑んでみているに違いない。

安倍はやっぱりアメリカの“ポチ”

世界各国が非難声明を出す中、同盟国である我が国“日本”はどんな対応をしているのか?

日本は現在、原発の殆どが止まっている状態で、電力の大部分を石油でまかなっている状況だ。その石油は中東から輸入している。中東の混乱は、「百害あって一利なし」。当然、日本も国益を考えれば、アメリカに非難声明を出すべきだと思うのだが、何故か“沈黙”をきめ様子見をしている状態だ(河野外相が軽くジャブ程度の非難をしたが・・・)。

「いったい何を考えているのか?」お友達を自称する安倍首相は、トランプに何も言えない、やっぱり“ポチ”なのか?