国会議事堂

 

2017年9月28日、臨時国会の冒頭において、安倍首相は憲法7条を行使し衆議院が解散されました。

今回開かれるハズだった臨時国会は、野党が「モリカケ(森友・加計)問題」を争点に、憲法53条の臨時国会召集要求を野党から受けて実施するはずだったが、その臨時国会の冒頭で「解散」を断行したのだ。冒頭解散ということは、首相の所信表明演説も代表質問、そして北朝鮮非難への意思表明の国会決議も見送られ、予想争点の働き方改革関連法案(長時間労働を是正)やカジノ実施法案も一切審議されていない。

マスコミの多くは「安倍首相は、野党からの『モリカケ(森友・加計)問題』追及から逃れるための自己都合解散だ」など報道されている。

まぁ・・・、誰もがそう思うよなぁ。

解散の大義は?

安倍首相は9月25日の記者会見で解散の大義を、2019年10月に予定している消費税率引き上げ(8%→10%)分の使い道の変更(幼稚園・保育園及び低所得者の高等教育を無償化と企業の設備投資や人材投資を促す「生産性革命」)を表明。また、核実験やミサイル発射を繰り返す北朝鮮問題への対応に関しても「国民に問いたい」とし、今回の解散は『国難突破解散』だとアピールしました。

と、安倍首相は会見にて今回の衆議院解散の理由を発表したわけですが、北朝鮮問題に関しては置いといて、消費税増額分の使い道に関しては、先の国会や閣内で議論されたことはなく(問題としては上がっていたが・・・)降って湧いてきたような争点なわけで、どう考えても後付けの大義としか思えない。

単純に考えて「モリカケ(森友学園・加計学園)逃れ」と察するのが、一番正しい解散理由なんじゃないのかなぁ?だとすると納得するのは難しい大義だよね。

またこの解散には「延命」という安倍首相の思惑が見え隠れする。安倍政権は「モリカケ(森友学園・加計学園)疑惑」や共謀罪法案の強行採決などで支持率を落としてたわけだけど、仕事人内閣のスタートや、北朝鮮の日本上空を飛翔した2発の弾道ミサイルと米朝危機の影響で徐々に支持率が上がってきた。そこに野党第一党の民進党の混乱(前原代表による野党共闘見直し、山尾志桜里衆議院議員の不倫問題など)、選挙準備が整わない野党などの要因により、政権延命の好機と見たに違いない。(まさに党利党略、私利私欲?)

が、そうは問屋が卸さない事件が起きたのだ。。。

寛容な改革保守「希望の党」

9月25日、安倍総理は前もってメディアに「衆議院解散の説明会見」を予告。TV・新聞などの各社は当日の朝から「安倍首相はどんな説明をするのか?」の話題でもちきりだった。が、その日の午後、安倍首相の会見の数時間前、小池百合子東京都知事が「新党・希望の党」の結党を表明。一瞬にして安倍から小池へと、マスコミの話題をすり替えてしまった。

昨年の都知事選や今年行われた都議会議員選挙での圧倒的勝利。自民党議員には悪夢と戦慄が、また安倍政府に不満を抱く有権者には期待が生まれたに違いない。これ、小池さんの戦略としたら巧妙すぎますねぇ。(間違いなく偶然ではないだろうなぁ)

「希望の党」は、小池百合子都知事の側近の若狭勝前衆議院議員と民進党を離党した細野豪志前衆議院議員が、水面下で国政進出を目的とする新党結党のため政策の調整を行っていた。前身は若狭が立ち上げた政治団体「日本ファーストの会」。9月25日、小池百合子から発表された時の登録メンバーは現役国会議員9名。衆議院解散前日の27日に小池および国会議員14人の結党メンバーによる記者会見で「希望の党」の旗揚げを正式発表、「寛容な改革保守」を目指すとし、党の基本政策も併せて発表された。

野党再編と安倍総理の誤算?

「希望の党」が旗揚げされてから最初に動いたのが、先月の代表選で前原誠司氏が代表に選出されて再スタートをきった「民進党」。だけど驚いたことに前原代表は「今回の選挙では民進党からは立候補者の公認は出さず、すべて希望の党に公認を一任する。」とした(この英断には「自由党」の小沢一郎代表が一枚絡んでいるとも言われていて・・・)。安倍一強を倒すための英断と前原代表は語っているが事実上の民進党の解党だ。

野党弱体のうちに解散・総選挙というのが安倍首相の目論見だったが、この希望の党と民進党の動きは完全に安倍首相の誤算だったに違いない。

この民進党の議員を受け入れることに関して希望の党の小池百合子代表は、民進党の「保守」と「リベラル」を選別してリベラルは排除していくと表明。民進党に激震が走る。確かに政策の基本的な考え方が異なるメンバーを抱えるのは党としてリスクを抱えることになるのだが、この選別と排除の行為に関しては、マスコミも世論も希望の党に対してネガティブなイメージを抱いたようだ。予想通りこれに反発した民進党のリベラル派は、自ら民進党を離党し別の動きを見せている。

民進党の前原代表と代表選を争った枝野幸男氏は、希望の党の対応を不服とし民進党を離党しリベラル新党「立憲民主党」を立ち上げた。この立憲民主党・・・その誕生の境遇からか、結構注目を集めていて10月6日現在でtwitterアカウント「立件民主党」のフォロアー数が15万超という盛況ぶり(ちなみに自民党のフォロアー数が11万だから・・・)。

民進党を事実上解党した前原代表。希望の党と立憲民主党との分裂という結果になったなった状況に前原代表の胸中は?全くの想定外だったのか?それとも想定内だったのか?

選挙には地盤(地域)・看板(知名度)・カバン(資金)が必須と言われている。希望の党は小池百合子という知名度の高い看板はあるが、全国に地盤と政党交付金等の資金(カバン)が無い。民進党議員の合流で地盤とカバン、そして連合(民進党の支持母体)という支援団体を手中にしたわけだけど(ここが希望の党の狙いでもあった?)、民進党の分裂メンバー(主にリベラル派)による立憲民主党が出来たことによって狙いに狂いが生じたかもしれない。

今回の衆議院総選挙は、延命を目論み一番有利なタイミングで解散に踏み切った安倍政権、希望の党の参戦でその目論見に誤算が生じたように見えたが、希望の党の民進党議員公認方法にいわくが付いたおかげで多少持ち直した感があったが、立憲民主党の出現で先が全く読めなくなった感じがします。

気になる首班指名

選挙の結果がどうあれ気になるのが選挙後の首班指名ですねぇ。安倍首相は「過半数の議席がとれなければ総理を退任する。」と言ってるし、もし過半数をとったとしても大きく議席を減らすようであれば党内から「安倍おろし」の責任問題が浮上するのは必至。また小池百合子代表率いる希望の党や他の野党が大躍進を果たした場合、野党からの首班指名も考えられる。小池百合子総理大臣というのも現実味を帯びるわけだけど・・・、ただし今回の総選挙では小池百合子代表は出馬せず「都知事としての任務を全うする。」と言っている。前原さんも小池さんに出馬要請をしているが小池さんの答えは「No!」だ。だがメディアは公示直前まで小池百合子代表の胸の内を探ることをあきらめていない。

とにかく解散から10月22日の投開票まで目が離せない。面白い衆議院選挙です。

そもそも・・・

現状TV・新聞・ラジオ・ネットなどのメディアでの話題は、小池百合子都知事率いる希望の党が中心に報じられてますが(主に最近は批判的な報道が大半・・・?)、そもそも・・・そもそもですよ、何故このタイミングで衆議院を解散して総選挙を行うのか?大義も不明確なのに・・・。勝てるタイミングで解散総選挙っていうのが常套手段だというのは知ってはいるのだけど、やっぱり釈然としない。安倍さん、政治を私物化してないですかぁ?

本来ならば9月末からの臨時国会において安倍内閣は「モリカケ問題」に対しての説明責任を果たし、北朝鮮有事に備えての対策などをしてほしいと思うのだけど・・・。

政策的観点から3つのグループに分かれる(自民・公明×希望・維新×民主・社民・共産)今回の総選挙。政策を見て判断するか?、それとも安倍政権に対してYes or Noで判断するか?

総選挙は10月10日公示、22日投開票。