国連安全保障理事会は9月11日、6回目の核実験を実施した北朝鮮に対する新たな制裁決議を全会一致で採択した。その直後の9月15日、北朝鮮は今度は弾道ミサイルの発射実験を、国連制裁決議に抗議する形で実施した。また先月の29日にも同様に弾道ミサイルの発射実験を行っている。いずれのミサイルも北海道上空を通過して、太平洋上に落下する同じコースで撃たれた。
短期間のうちで日本の関東以北では2度のJアラート(全国瞬時警報警報)が鳴り響くことになった。
国際社会を完全に無視する北朝鮮
北朝鮮の暴走が止まらない。核弾頭の小型化を目標に6度の核実験を実施(直近では9月3日に実施)。また弾道ミサイルの飛翔実験は数知れず、その都度日本海に着水。そして直近の2回の飛翔実験では北海道の上空を通過している。今、日本は気の抜けない恐怖に直面している。
北朝鮮は、国連安保理決議によって、すべての核・ミサイル開発が禁じられている。しかしいっこうに開発をやめる気配を見せない。それどころか金正恩体制になってから開発は加速している。そのたびに国連安保理は制裁決議を採択し、北朝鮮に圧力をかけてきたが・・・。
北朝鮮に対する国連安保理による制裁決議は9回を数える。
アメリカの対応は、そして中国とロシアは?
朝鮮戦争以来、北朝鮮は一貫してアメリカを敵国視していて、射程1万キロ以上の大陸間弾道ミサイル開発はアメリカと対等なテーブルに着くために必須の国策。一方アメリカは、「あらゆる選択肢がテーブルの上にある」とトランプ大統領が言うように、その脅威を阻止するために、現在はあらゆる対応の選択肢を用意して圧力をかけているのだけど(日本はこれに便乗している感じ)・・・。
はたして北朝鮮に対してアメリカはどのような対策を講じるのか?周知の事実として制裁による圧力では北朝鮮は止まらない。対話による解決(ミサイルおよび核の放棄)は可能?軍事衝突による最悪のシナリオだけは回避してほしいものですが・・・。
我が物顔に暴れる北朝鮮を鎮める他の選択肢としては、北朝鮮に対して陰日向で経済的支援を行ってきた中国とロシアだ。この二カ国にとって北朝鮮は重要な国、というか日本や韓国そしてアメリカなど、自由主義国との隣接を避けるための重要な干渉エリアになるからだ。その為に国連制裁の圧力の中、陰に隠れて支援を続けていると言われている。仮に中国とロシアが制裁決議を履行したならば、また対話のきっかけを作ることが出来るならば、北朝鮮の動向は?
ただ、あまり圧力ばかりだと「北朝鮮はいつか暴発しちゃうんじゃないの?」って心配する声もありますが・・・。
北朝鮮の目的はいったい?
北朝鮮の核開発やミサイル開発など軍拡に走る目的は何なのか?また何故アメリカを敵国視するのか?それを考える上で朝鮮戦争(1950年~1953年)を無視することはできませんね。
かつて日本に植民地支配されていた朝鮮半島は、日本の敗戦(1945年)で解放。1948年8月に南側で韓国が建国されると、北側では植民地時代に日本に抵抗活動をしていた故・金日成氏を中心に、同年9月に旧ソ連の支援を受けて朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の樹立を宣言。1950年6月に北朝鮮が南へ侵攻を開始する。韓国側にはアメリカを中心とした国連軍、北朝鮮側には中国軍(旧ソ連も加担?)が加わり、3年間に及ぶ戦争は朝鮮半島を荒廃させるに至った。1953年7月、国連軍と中朝軍は朝鮮戦争休戦協定に署名し休戦。北緯38度線を軍事境界線とされ、朝鮮半島は北の朝鮮民主主義人民共和国と南の大韓民国の二国に分断された。
朝鮮半島はいまだ休戦中であって終戦はしておらず、事実上はまだ戦争中なのです。南北朝鮮及び北朝鮮とアメリカ合衆国との間に平和条約は締結されなくて、緊張状態は続いたままなのです。
こういったバックグラウンドを考えれば北朝鮮の目的もある程度分かるような気がしますよね。
で、北朝鮮の目的は何なのか?推測の域ですが・・・。
現行体制(金王朝)の維持
北朝鮮が休戦協定を結んだ相手は国連軍で、その中心にはアメリカ。北朝鮮にとってアメリカは、休戦中の敵国ということになります。北朝鮮の指導部は常に、自分たちの体制をアメリカなどにひっくり返されないか恐れ続けているわけで・・・。なので北朝鮮は核やミサイルの開発で軍事力を高め、アメリカに対して同じテーブルにつき(対等の立場)、現行の体制を認めさせようとしている?
朝鮮半島の統一(赤化)
朝鮮戦争勃発の経緯をみればわかると思いますが、北朝鮮は朝鮮半島統一(赤化)を目論んで韓国側に侵攻したわけで、現在は休戦中の中、北朝鮮の目論みは道半ばといえるんじゃないかな?
武器(核・ミサイル)開発による外貨獲得
北朝鮮は、現行の体制の維持を可能とする外貨獲得の為に、自国で開発した武器を輸出するルートを持っている。中東(特にエジプト、シリア、イラン)、そしてミャンマーなどへの弾道ミサイルや核技術の輸出は、国際監視団から数多く報告されている。一連のミサイル発射実験や核実験のメディア発信は、おそらくそういったお得意様に対してのショールームの役割を果たしているのでは?
ざっと簡単だけどこんな感じのことが目的として挙げることが出来るのですが・・・。
平和的解決は出来るのか?
グアム近海へのミサイル実験の意思をメディアで発したり、「日本の4つの島を海に沈める」などと言ってみたり、とにかく国際社会に挑発をし続ける北朝鮮。こんな駄々っ子で我儘な甘えん坊国家「北朝鮮」とどう付き合っていけばいいのか?
北朝鮮のターゲットとなっているアメリカは、北朝鮮に対して「レッドライン」を示しています。その「レッドラインがどのレベルなのか?」は計り知れないところですが、アメリカが軍事的な行動にでるとすれば、アメリカの領土・領空・領海内にミサイルが侵犯した場合、あとは北朝鮮が開発中の大陸間弾道ミサイルが確実にアメリカ本土を射程に捉えた場合だろう。アメリカは現時点では最悪のシナリオ(戦争)は考えてはいない様で、水面下では北朝鮮との交渉を探っているとかいないとか・・・?
現時点でのアメリカと北朝鮮との交渉の落としどころは、「アメリカは北朝鮮の核保有を認めてミサイル開発は放棄」だというコメントも出ていますが・・・。アメリカは自国への危機(アメリカ本土が北朝鮮のICBMの射程に入る)を回避出来ればいいわけなので十分あり得ること。
仮に対話による解決が出来たとして、果たして北朝鮮はおとなしくなるだろうか?彼らには目的(体制の維持、朝鮮半島の統一)がある。目的を達成するためには、いずれまた動き出すんじゃないの?どうしても信用できないんだよね・・・あの国はぁ。
隣国である駄々っ子で我儘な甘えん坊国家「北朝鮮」が核をもつ現実に、我が国はどう向き合うのか?
抑止力として敵基地攻撃能力を持つのか?それともニュークリア・シェアリング(Nuclear Sharing/核兵器の共有)?いきなり物騒な具体案ですけど・・・、あり得ない話ではないと思います。ですが、現実には憲法上の問題(9条)や非核三原則等の障壁があり、そう簡単には実現はしないでしょうね。北朝鮮の脅威を目の当たりにして、今我が国でもやっと「非核三原則の見直しを議論するべき」とか、「敵基地反撃能力を持つべき」などの話が取り上げられつつある。出来れば何も起きず平和的に解決できればそれにこしたことはない。でも僕自身、心のどこかで金正恩の斬首(金王朝の崩壊)を願ってしまっているのも事実なのだ。
何が最良なのか?答えはなかなか見いだせない。
P.S.国連総会にて
・・・国際社会は今、少数の「ならず者」たちと立ち向かわなければならないとしたうえで、真っ先に北朝鮮を取り上げ、「工作員の日本語教師として強制的に働かせるために愛らしい日本人の13歳の少女を連れ去ったことをわれわれは知っている」と述べ、拉致被害者の横田めぐみさんに言及し、北朝鮮を非難。そのうえで、北朝鮮が核・ミサイル開発を加速させていることについて、「アメリカは、強さと忍耐を持ち合わせているが、アメリカと同盟国を守らざるをえない場合、北朝鮮を完全に壊滅するほか、選択肢はなくなる」と述べると、会場はざわめき・・・そして、北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長を「ロケットマン」と呼び、「自滅の道を歩んでいる」として強く警告するとともに、北朝鮮への圧力を一層強めるよう各国に呼びかけた。 (トランプ大統領談 引用元:NHK NEWS WEB)
・・・北朝鮮が繰り返す核実験とミサイル発射について「(核)不拡散体制は史上最も確信的な破壊者によって深刻な打撃を受けようとしている」と指摘。1994年の米朝枠組み合意と07年の6者協議合意が破られ、水爆と大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発が進められている現状に触れ、「対話とは、北朝鮮にとって我々を欺き、時間を稼ぐため、むしろ最良の手段だった」と非難した。 (安倍首相談 引用元:朝日新聞DIGITAL)
トランプ大統領と安倍首相の国連演説の要約です。いずれも各国トップから賛否両論を生んでます。「対話は無に帰した」と、安倍首相の弁も理解できるところもあるが、気になったのは「対話よりも制裁」と言及した部分。その昔、ABCD包囲網とやらの国際社会からの制裁を受けエネルギー不足に陥り、暴発した日本をお忘れなのか?トランプ大統領が、横田めぐみさんを引き合いに出し、拉致問題に言及した部分はちょっとジーンときたけど・・・。