岩手県大槌町、海の見える山沿いの民家の庭に「風の電話」はある。
2010年に設置されて以来、およそ延べ2万人の方がこの奇妙な電話BOXに訪れているらしい・・・。訪れる人の多くは、2011年3月11日の東日本大震災で亡くなられた被災者へ思いを伝えたい方々だという。
元々はここのご主人が「亡くなった従弟ともう一度話がしたい」という思いから震災の1年前にこの「風の電話」をご自身の庭に設置したようですが。震災後、「被災して亡くなられた方へ思いを伝えてほしい」とのことで一般に開放して今日に至っています。
「会いたい」気持ちを伝える人や、「なぜ避難しなかった?」「なぜ死んだ?」という悔いる気持ちを伝える人、未だ整理しきれていない気持ちをぶつける人など、亡くなられた人へのメッセージは様々。
「風の電話」は、白い電話BOXの中に線の繋がっていない黒電話とノートが置かれていて、脇には以下のようなメッセージが・・・。
風の電話は心で話します
静かに目を閉じ 耳を澄ましてください
風の音が又は浪の音が 或いは小鳥のさえずりが聞こえたなら
あなたの想いを伝えて下さい
僕は昨年の3月にNHKの特集番組で、「風の電話」のことを知って、そして2017年の今年、TBSの震災特番で取り上げられたのをたまたま見て思い出して、今回記事に・・・。
「風の電話」というシンプルなツールによる死者との対話。現実的に見れば、死者との対話なんて出来るわけない。
生きているものから亡くなられた者へのメッセージの一方通行なのだけど。通話を終えた後には、呼び起される記憶や、心の奥に抑え込んでいた思いなどが息せき切って溢れ、心を満たしているように思える。
あたかも会いたかった人に再開した時のように・・・。
奥にしまい込んだものをそのままにすることは整理とは言えないよね?引っ張り出して仕訳して仕舞、また引き出して仕舞。そうやって繰り返しているうちに整理できてくる。人の心も同じのように思えます。
「風の電話」は、そんなツールとして一役かっている感じがします。
死者との対話という思いが作った「風の電話」
人の思いの強さや想像力って本当にすごいなぁって思うわけで・・・。
僕も6年前に亡くなった娘(愛犬ですが・・・)ウランにメッセージを伝えに「風の電話」を訪ねようかなぁ。