『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』
- 鑑賞日:4月21日(土)
- 鑑賞場所:シネマサンシャイン土浦
2018年のゴールデンウィーク映画、スピルバーグ監督からの素敵なプレゼント。話題のVR(仮想現実)を題材にしたジェットコースターの様な展開のテーマパークに、観る者を放り込む至福のムービー。「ありがとう!」スピルバーグ。
レビューしますね。
「今はどっち?」仮想空間と現実が交錯するノンストップムービー(あらずじ/ネタバレ)
時は2045年。世界は荒廃の一途を辿っていた。人々の大半は、スラム化した街で暮らさざるを得ない状況になっていた。そんな中で地球上の人口の大半は<オアシス (OASIS: Ontologically Anthropocentric Sensory Immersive Simulation )>と呼ばれる仮想現実の世界が名前の通り唯一のオアシスだった。
今、オアシスでは、創設者ハリデー(彼はすでに他界)による一大イベントで盛り上がっていた。それは「アノラック・クエスト」というイベントで、隠されたイースターエッグを見つければオアシスの管理権と彼の株(50兆円?)を譲渡するというもの。このイベントに参加するゲーマーは通称ガンターと呼ばれた。ガンターの中には仮想現実装置を製造するIOI (Innovative Online Industries)もシクサーズというグループを形成し、オアシスの管理権を得るために躍起になっていました。
ガンターの一人ウェイドもゲームの勝者となるべく、オアシスに隠されたイースターエッグを探すため、友人のエイチらと日々仮想世界に没頭していた。隠されたイースターエッグを見つけるには、3つのゲートを開けるための3つの「鍵」を探し出さなければならない。ウェイドはアバター「パーシバル」となりオアシス内を躍動する。友人のエイチ、ダイトそしてショウと共に。
最初のチャレンジ(ファーストステージ)は仮想ニューヨークの市街地レース。ウェイド(パーシバル)はデロリアン(バック・トゥ・ザ・フューチャーの・・・) を駆り参戦。レースの途中、ウェイドは天才ガンター・アルテミス(AKIRAの金田バイクだぞっ)に遭遇、並走しながらゲームを進めていく。襲いかかる巨大な鉄球やティラノザウルス(Godzillaとジュラシックパークかぁ)などの妨害をかわすもゴール直前、キングコングに襲われてゴール出来ず。危険察知したウェイド(パーシバル)は、後ろから追走していたアルテミスをバイクから救出。アルテミスのバイクはウェイド(パーシバル)の予想通りキングコングによって破壊されてしまう。
壊れたバイクを修復するため、ウェイド(パーシバル)とアルテミスはエイチのガレージへ。アルテミスとの会話の中で、ウェイド(パーシバル)はアルテミスに好意を抱いていった。
ウェイド(パーシバル)はアノラック・クエスト攻略の為、オアシスのアーカイブでハリデーの日記を解読する。そしてファーストステージ攻略のヒントを発見する。レースに再挑戦したウェイド(パーシバル)は、他の参加者とは逆に走ることで妨害の及ばない隠されたルートを走ることに成功する。そしてついに完走を果たす。ゲームクリアしたウェイド(パーシバル)は、ハリデーのアバター・アノラックから一つ目の鍵を手に入れる。そしてウェイド(パーシバル)は、このレースでトップランクを獲得するが、それがきっかけでIOIのCEOノーラン・ソレントに目をつけられる。
ファーストステージのクリアはウェイド(パーシバル)を一躍時の人にしました。
IOIのソレントは、ウェイド(パーシバル)に共闘を提案するが、ウェイド(パーシバル)はその申し出を拒否。そのためソレントはウェイド(パーシバル)の住んでいたスラム街を爆破し、ウェイドの叔母たちは殺されてしまう。駆けつけたウェイドは、サマンサ(アルテミス)に助けられ、隠れ家へ。そこでアルテミスのアバターではないサマンサ本人に出会うのだった。
「アノラック・クエスト」のセカンドステージは映画「シャイニング」のワンシーンの攻略。そしてこのステージはサマンサ(アルテミス)が鍵を獲得するのだった。
ステージをクリアしたウェイド(パーシバル)とサマンサ(アルテミス)をはじめ、エイチ、ダイト、ショウもランクを上げ、5人はハイ・ファイブと呼ばれるようになった。この結果にIOIのソレントはサマンサ(アルテミス)にも目をつけることになる。ウェイド(パーシバル)たちは、ハリデーのアーカイブから、最後のクエストが惑星ドゥームのキャッスル・アノラックにあるという情報を得る。
IOIはサマンサ(アルテミス)の隠れ家を特定、彼女は捕らわれてしまう。ウェイド(パーシバル)は捕らわれたサマンサ(アルテミス)を救助するため、オアシス内のプレイヤーにメッセージを送り、IOIと戦うために協力して欲しいと申し出る。ハイ・ファイブたちは協力して、サマンサの奪還を試みる。
アノラック・クエストの最終ステージ。惑星ドゥームのキャッスル・アノラック攻略とサマンサ(アルテミス)救出をかけて、ガンター達は、既にキャッスルに侵攻していたIOIのシクサーズと死闘を繰り広げていた。ソレントのメカゴジラが行く手を阻む中、ウェイド(パーシバル)はデロリアンを駆り、エイチはアイアン・ジャイアントで、ダイトはガンダムで、メカゴジラに挑む。
IOIに捉えられたサマンサ(アルテミス)は、現実社会ではIOI内で強制労働をさせられていたが、独房から脱出することが出来、シクサーズの一員に扮して参加することに成功する。独房にサマンサ(アルテミス)がいないことに気づいたIOIは彼女を探すが、ウェイド(パーシバル)の機転により、サマンサ(アルテミス)はIOIから逃げ出すことにも成功し、ウェイド(パーシバル)たちのアジトへ帰還する。
仲間の助けも借りながら、なんとかキャッスル侵入に成功したウェイド(パーシバル)は、「Atariの部屋」を見つけ出す。何人ものシクサーズがAtariのゲームに失敗する中、ウェイド(パーシバル)はゲームクリアが鍵ではなく、イースターエッグを探すことが鍵だということに気づく。その結果、ウェイド(パーシバル)は最後の鍵を獲得すし、扉を開けることに成功する。
そこはハリデー(アノラック)の部屋だった。ウェイド(パーシバル)の目の前に現れたアノラックは彼を祝福し、権利譲渡の契約書へのサインを求める。だが、ウェイド(パーシバル)は、その契約書がモローがパートナー関係を終わらせるときにサインしたものと同一だと気付き、ウェイド(パーシバル)は提示された契約書へのサインを拒否する。その時、アノラックのアバターがハリデーに変わり、ウェイド(パーシバル)は、ついにオアシスの管理権を獲得するのだった。
IOIのCEOであるソレントは逮捕され、IOIは業務改革を余儀なくされる。ウェイド(パーシバル)は、オアシスの管理を自分個人ではなく、仲間のハイ・ファイブたちとともに運営することとして、ウェイドは、週に2回、オアシスをシャットダウンすることとし、人々が現実世界でより時間を過ごせるよう促すのだった。もちろんウェイド(パーシバル)とサマンサ(アルテミス)の恋も成就するのでした。
めでたし、めでたし。
映画・小説・漫画・アニメ ここはポップカルチャーのおもちゃ箱
原作小説の『ゲームウォーズ(原題Ready Player One/レディ・プレイヤー1)』(作:アーネスト・クライン)は、ハリウッドのSF映画や日本の漫画・アニメ・特撮などのポップカルチャーがクロスオーバーする内容が話題をよんだ。本作『レディ・プレイヤー1』でも原作に負けず劣らず多数のコンテンツやポップカルチャーが登場する。ストーリーもさることながら、どちらかと言うと話題は登場する様々なポップカルチャーのキャラクターなどに集まっているといっても過言ではない。
ではどんなキャラクターが劇中に登場するのか・・・? 僕が確認できたもの以外も含めてご紹介します。
登場キャラクター
- デロリアン(バック・トゥ・ザ・フューチャー)※ウェイド(パーシバル)の愛車
- K.I.T.T/キット(ナイトライダー)※ナイト2000に搭載されている人工知能でデロリアンに搭載されていた
- 金田バイク(AKIRA)※サマンサ(アルテミス)の愛車
- バンブルビー(トランスフォーマー)
- インターセプター(マッドマックス)
- マッハ号(映画版スピードレーサー)
- ティラノザウルス(ジュラシック・パーク)※一瞬エメリッヒ版ゴジラと見間違うかも
- キングコング(キングコング)※ファーストステージ(市街地レース)のボスキャラ
- バットマン(バットマン)
- ハーレクイン(バットマン/スーサイド・スクワッド)
- バットモービル(初代バットマン)
- クリスティーン(クリスティーン)※赤いプリムス・フューリー
- ソードフィッシュ(カウボーイビバップ)※エイチのガレージ内に模型と実物が置いてあった
- シャイニング(シャイニング)※セカンドステージ(クエスト)にシーンが利用されている。双子の幽霊(シャイニング)、ジャック(シャイニング)、237号室の女が登場する
- メカゴジラ(ゴジラシリーズ)※最終ステージのボスキャラ的存在
- アイアン・ジャイアント(アイアン・ジャイアント)※エイチが操縦するロボット
- RX-78-2 ガンダム(機動戦士ガンダム)※ダイトウが変身してメカゴジラに挑む。「俺はガンダムで行く!!」は静かに流行語になりそう
- ガイガン(ゴジラシリーズ)
- チャッキー(チャイルドプレイ)
- オプティマス・プライム(トランスフォーマー)
- ロボコップ(初代ロボコップ)
- キティ(ハローキティ)
以上は僕が本編を観て確認できたコンテンツキャラクターだけど、このほかにも僕が確認できなかったキャラクターが多数起用されている。
著作権の問題など乗り越えて、「よくこれだけのキャラクターを集めることが出来たなぁ。」と、ただただ脱帽。それでも原作では登場した「ウルトラマン」とか原作で重要なシーンを成す「ブレードランナー」などは、壁を超えることが出来なかったようです。
通常の映画とかだと、事前のネタバレは歓迎されませんね。でもこの『レディ・プレイヤー1」はストーリー以外のネタバレは問題なし。っていうかむしろ十分に予習をしてから観た方が楽しめるんじゃないだろうか? 『レディ・プレイヤー1』は、きっとそんな映画だよ。
現実とVR(仮想現実)『レディプレ』が伝えたいこと
近未来SF、スピーディーな展開、まさにスピルバーグの独壇場と言っても過言じゃない。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』では現在・過去・未来を目まぐるしく移動してストーリーが展開していく。観ている僕らはそれに一喜一憂したのだ。そしてこの『レディ・プレイヤー1』では、現実世界と「オアシス」という仮想世界の二つの世界が交錯する中、スピーディーな展開に同じようなワクワクした高揚感を抱き楽しんでいる自分がいる。
映画の冒頭、主人公のウェイドがコンテナの集合住宅から階下へ降りてくる際に、他の住人の生活が垣間見れるのだけど、そこには皆VRゴーグルをつけて体操したり、コントローラーを手に仮想世界にのめりこむ様が描かれている。現実が仮想現実に支配される世界。『レディ・プレイヤー1』はそんな世界を描いた作品だ。観ている僕らは、あたかもそんな世界にいるような錯覚さえ憶える、スクリーンでVR体験が出来る映画だ。
特出したVR(仮想現実)の表現の素晴らしさに目が行っちゃうのも仕方がない。が、この物語はVR(仮想現実)が支配する近未来に警鐘も鳴らしている。ウェイド(パーシバル)は、アノラック・クエストでミッションを一つづつクリアしていく中で、エイチやサマンサ(アルテミス)たち仲間と出会い、そして困難に立ち向かいながら仲間との絆を深めていく。一人では不可能なことも仲間と力を合わせることで、様々な試練を乗り越えていく。この作品は人との繋がりを強くアピールしている。そしてクエストをクリアして「オアシス」の権利を得たウェイドは、仲間(ハイ・ファイブ)との共同運営を望み、そして「オアシス」を週二日シャットダウンする。オアシスの住人を現実社会へと誘うのだ。
未来に存在する仮想現実がどういうものなのか? 僕らは決して想像の域を出ることはない。そして想像できる範囲において考えうる利便性や危機感。スピルバーグはこの作品で仮想現実をプレゼンしてくれている。
『レディ・プレイヤー1』を観終わったあと、家に帰った僕は挿入曲の「JUMP」が聞きたくて、CDラックからヴァン・ヘイレンの『1984』を取り出しCDプレイヤーにセットした。