原作は一切読んでません。でも、僕は「探偵」ファンです。(説得力ないね^^;)

TVCMを見ての期待感も上々。12月1日の公開を待ち望んでおりました。今回のマドンナ(依頼人)は“北川景子”。彼女が、探偵と高田のデコボココンビと、どう絡んでいくのか?

早速レビューです。

「探偵さん。私、みつけたよ」思いっきり切ない結末に涙。(あらすじ)

北の繁華街“ススキノ”。そんなススキノのプレイベート・アイを自称する“探偵(大泉洋)”は、今夜もBAR“ケーラー・オオハタ”にいた。そこに相棒の高田(松田龍平)が大学の後輩を連れて入ってくる。どうやら探偵に用事があるらしい。

「失踪した恋人・麗子(前田敦子)の行方を捜して欲しい」という、高田の後輩からのありふれた依頼を安易に引き受けた探偵(依頼費10,800円)。早速調査に乗り出す探偵は、失踪した麗子がアルバイトをしていた「ピュア・ハート」というモデルクラブに辿り着く。そこで出会ったオーナーのマリ(北川景子)に妙な既視感を覚える探偵。モデルクラブを出た直後、周囲を嗅ぎまわる探偵と高田を数人のやくざっぽい暴漢が襲う。はじめは返り討ちペースだったが、用心棒のイケメンで若造の波留(志尊淳)の登場で形勢逆転。探偵と高田はボコボコにされてしまう。

暇つぶしに始めた調査依頼だったが、気が付きゃ意地。さらに調査を進める探偵は、麗子の失踪の陰に、裏社会で暗躍する札幌経済界のホープ・北城グループが絡む、覚せい剤密輸と、それに関連する連続殺人事件との関連が浮上する。そしてマリがグループの代表・北城(リリーフランキー)の愛人だということを知る。

マリに覚えた既視感がどうにも気になる探偵は、なじみの元娼婦・モンロー(鈴木砂羽)を訪ねる。そして4年前の記憶に辿り着く。「あれか?あれがマリか?」と・・・。マリは、ススキノの裏町で今にも死にそうに震えていたのを、探偵とモンローが助けた女だった。

ある夜、探偵はマリと夜のススキノにいた。観覧車の中の二人、そしてお酒・・・。マリに対して、はじめは疑念をもって付き合っていた探偵だが、次第にマリのペースに呑み込まれて・・・。自室のベッドで目を覚ませば、隣には愛らしく眠るマリが・・・。探偵はマリと一線を超えたことを悟る。熟睡するマリを横目に、探偵はマリの所持品をチェックする。そしてマリが服用している薬を見つける(後に探偵は、その薬からマリが余命短い病だと知る)。探偵が次に目覚めたとき、横で寝ていたはずのマリはいなかった。代わりに探偵の部屋からは覚せい剤が・・・。「ヤバい!モーレツにヤバい!!」慌てて高田に電話する探偵。そう、探偵はマリの仕掛けたハニートラップに、見事にひっかかったのでした。

麗子の失踪に端を発した殺人事件、緊張が走る裏社会、陰でうごめく巨額の薬物取引、さらに起きる殺人事件。そのすべてはマリによる、北城をも欺く作戦だった。そしてマリは、探偵に最後の依頼を託す。

そして物語は、はかなくも切ない結末へ向かうことになる。

シリーズ中、最も最悪で最強に切ないマドンナ(依頼人)の岬マリ

「探偵はBARにいる3」において、カギを握る人物は・・・何といっても岬マリだろう。そのマリを演じるのが北川景子。

モデルクラブ「ピュア・ハート」のオーナーとしての聡明な美女としてのマリ。ススキノの路地裏で自暴自棄なってるマリ。腹に黒いものを隠し持つ、いわゆる悪女なマリ。探偵とススキノの街で一夜を過ごす可愛らしいマリ。「探偵さん。私、見つけたよ」と、これから起きる悲劇を前にすがすがしい表情を見せるマリ。そして獄中で薄ら笑みを浮かべる孤独なマリ。

一人でも生きて行けそうな強さを持ちながらも、探偵が「この女、ほっとけないな」って思うような儚さだったり、壊れやすそうな雰囲気だったりと、このフリ幅の広いマリというキャラクターを、北川景子は見事に演じている。彼女の演技なくして今回の「探偵」は成り立たなかったといっても過言ではない。

観ている僕らは、気がつけば北川が演じるマリに感情移入していて、切なすぎるクライマックスで、不覚にも涙してしまう。

探偵と高田の凸凹コンビは今回も健在

探偵:「お前なんで無傷なんだよ?」

高田:「・・・、キャラじゃねえか?」

こういうふたりの会話が随所にちりばめられているのも「探偵」シリーズの魅力のひとつ。探偵と高田の凸凹ぶりは、今回もしっかりと健在だ。

三枚目の自覚がない自称二枚目の探偵。ケンカにはめっぽう強いがお惚けのマイペース、探偵の危機には必ずと言っていいほど遅れて登場する高田。二人のやり取りは見ていて飽きない。

そんな名コンビの仲に、今回最大の危機が訪れる。

探偵:「お前は降りろ。」「お前はクビだ。」

探偵にこんなセリフを言わせた原因は何なのか?(尚、これにはオチがあったりします^^;)

「命を燃やすものは、あるか?」このキャッチコピーの持つ意味

「探偵はBARにいる3 命を燃やすものは、あるか?」今回の作品のタイトルには、シリーズ通して初めてキャッチコピーが付きました。このキャッチコピー、きっと作品に大きく関わってるに違いないと思いますが・・・。

自暴自棄になりススキノの路地裏で座り込んでいたマリを、探偵とモンローが助けた時、冷えた心と身体を温めるために、マリを囲んで居酒屋へ。その場で探偵とモンローが、マリがまた自暴自棄にならないように諭す。そこで・・・。

探偵がマリに、「お前にも、そのうち命を燃やせるものが出来るさ・・・」的な事をいう。

そう、何気ない誰にでも言うような励ましの言葉だったが、マリの心に深く届いたのだろう。その後のマリの行動(本編で描かれる事件)は、その言葉を受け止めた結果、マリが起こしたことだった。

札幌のとあるショッピングモール。北城との最終対決、そのどさくさでマリは探偵に・・・。

「探偵さん。私、みつけたよ」

そしてマリは、探偵をもだし抜き、自ら密かに描いた筋書きに沿って突き進む。しかしマリが描いた筋書きの終着は、あまりに切ない結末。

本編を観る前と後では、このキャッチコピー「命を燃やすものは、あるか?」から抱くイメージが180度変わります。

おまけもあるよ

そういえば、『探偵はBARにいる3』のCMでも出てくる、高田をクビにした探偵。何故、あのような展開になっちゃったのか? そして、二人の関係はどうなってしまうのでしょうか?

探偵が高田をクビにするいきさつは本編に。そして二人のその後は・・・、エンドロール後に。

最近の映画の流行になっている、エンドロール後のショートストーリー。『探偵はBARにいる3』にもあります。言ってみれば、悲しすぎる結末のお口直しですね。

「『探偵はBARにいる』シリーズは、まだまだ続きますよ~っ」とも思えるエンディングに、この映画の観客たちは、少しだけホッとするはずですよ。